動産売買先取特権とは?動産競売との関係について解説

2023.10.1

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動産売買先取特権を行使し、動産競売を行いたいと考えているものの、権利について今ひとつ理解が及ばず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。複雑性が高い権利のため、1つずつ順を追って理解することが大切です。この記事では、動産売買先取特権の意味や動産競売との関係などについて詳しく解説します。

動産売買先取特権とは

動産売買先取特権とは、動産(物の売買)の債権を持つ人が、特定の財産に対して優先的に債権を行使できる権利のことです。買った商品の料金が支払われない場合、取引相手に優先して債権を回収できる法的な権利を持っています。つまり、商品を売った側が、買い手に料金を支払わない場合でも、法律上その商品から債権を回収できる特別な権利を有しているということです。

通常、複数の債権者がいる場合は債権者平等の原則が働きます。これは、同一の債務者に対して複数の債権者がいる場合に、各債権者が平等に扱われる法的原則のことです。つまり、債権者たちは債務者の財産を分け合う際に、それぞれの債権額に応じて平等に分配されます。

例えば、3人の債権者が同じ債務者に対してそれぞれ異なる金額の債権を持っている場合、債務者の財産が不足している場合でも、各債権者は自身の債権額に応じた比率で財産を分け合います。例えば、Aが600万円、Bが300万円、Cが100万円の債権を持っており、債務者に支払える財産が500万円しかない場合、Aに300万円、Bに150万円、Cに50万円が支払われます。

しかし、先取特権を持つ債権者は、債権者平等の原則に従わず、他の債権者を差し置いて優先的に債権の回収ができる特別な権利を持っています。このため、債務者の財産が限られている場合でも、先取特権を持つ債権者が優先して支払いを受けることが可能です。

先取特権の種類

先取特権には2つの種類があります。

一般の先取特権

一般の先取特権は、債務者の「財産全般」から優先的に債権回収ができる権利です。つまり、債務者が持つあらゆる財産に対して適用されます。この特権を持つ債権者は、他の債権者により優先的に支払いを受けることができます。

特別の先取特権

特別の先取特権は、債務者の特定の財産からのみ優先的に債権回収ができる権利です。特別の先取特権は動産の先取特権と不動産の先取特権に分類されます。

債務者が特定の動産(動く財産)を持つ場合、それらの動産に対して特別の先取特権を有する債権者は、その財産を優先的に差し押さえて競売にかけることができます。例えば、自社で製造し、問屋や小売店に売却した商品や、自分の店で消費者に売った商品などが該当します。相手がこれらの財産を所有している場合、特権を持つ債権者はそれらを差し押さえて債権回収に充てることができます。

不動産に関連する特別の先取特権は、不動産に対して優先的に債権回収を行う権利です。不動産を持つ債務者がいる場合、特別の先取特権を有する債権者はその不動産に対して優先的に債権回収を行う権利を持ちます。

動産売買先取特権に基づく動産競売とは

動産売買先取特権に基づく動産競売は、特定の債権者が債務者に対して商品の売買に関連する債権を持つ場合に、その商品を差し押さえて競売にかけ、債権回収を行う法的手続きのことです。

動産売買先取特権を持つ債権者は、債務者の倉庫や保管場所にある商品を差し押さえ、競売にかけて優先的に債権回収を行う権利を有します。

以前は、この手続きを行うためには目的の商品を執行官に提出するか、債務者が差押承諾文書を提供する必要がありました。しかし、債権者が債務者に対する売買債権を証明する文書を裁判所に提出し、裁判所の許可を得ることで、債権者は自身の商品を差し押さえる手続きを進めることができるようになりました。

この方法により、債権者は債務者の協力を得ることなく、動産売買先取特権に基づく動産競売を行うことが可能となりました。

動産売買先取特権の行使は弁護士のサポートの必要性が高い

動産売買先取特権は、契約書に明示されなくても、売買契約に基づく債権者に与えられる強力な権利です。この権利を行使することで、他の債権者よりも優先して債権回収が可能となります。しかし、動産売買先取特権を行使するためには、売買契約書や関連する証拠書類を裁判所に提出し、債権者であることを厳密に証明する必要があります。

弁護士は証拠の収集の豊富な知識と経験を持っており、正確で法的に有効な証拠を手に入れることができます。動産売買先取特権の行使を検討する際は、弁護士に相談しましょう。

まとめ

動産売買先取特権の行使による動産競売は、債権回収の手段として最初に検討したい方法です。しかし、必要な証拠集めが難しいため、弁護士のサポートを受けることは必須でしょう。梅田パートナーズ法律事務所では、動産売買先取特権の動産競売を実行するために必要な証拠や手続に関してきめ細かなサポートが可能ですので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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