先取特権によって優先的に債権を回収する方法 | 種類や方法を解説

2023.9.29

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債務者が破産した場合、財産を換価して債権者で平等に分けることになります。この場合、先取特権によって優先的に債権を回収できる場合があります。ただし、その種類によって規定が異なるうえに弁護士のサポートを受けなければトラブルになるリスクがあるため、慎重に進めなければなりません。

今回は、先取特権によって優先的に債権を回収する方法について詳しく解説します。

先取特権とは

先取特権は、債務者が破産した場合に、債権を他の債権者より優先して回収できる権利のことです。通常、債権者は平等とされており、換価処分された財産は平等に振り分けられます。しかし、債権額は債権者によって異なるため、平等に振り分けることで多額の債権を持つ人物が損をしてしまいます。

このような事態を防ぐ方法として、先取特権が設けられているのです。先取特権の行使により、他の債権者よりも多額の債権を回収できる可能性があります。例えば、900万円の財産を保有している債務者が破産した場合、債権者が3人であれば300万円ずつ均等に分けます。

そこで、先取特権を行使し、900万円以上の債権を持っていた場合は全額を優先的に回収できるのです。これはあくまで一例であり、先取特権の行使を保証するものではありません。先取特権の行使について詳しく知りたい、利用できる可能性について確認したい方は、弁護士に相談することが大切です。

先取特権の種類

先取特権には、3種類あります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

一般の先取特権

一般の先取特権は共益や雇用関係、葬式費用などの債権を優先的に取得できる権利です。以下のように優先順位が決まっており、自身よりも上の優先順位の人がいた場合はそれに次いで債権を回収します。

  • 共益の費用:強制執行の費用のように他の債権者との利益を目的に支払った
  • 雇用関係:未払いの給与など
  • 葬式の費用:葬式に関連するすべての費用
  • 日用品の供給:光熱費や日用品などの費用

動産を回収する特定の先取特権

動産先取特権とは、債務者が持つ動産を担保として現金に換価できる権利のことです。下記の原因によって生じた債権を持つ場合、特定の動産における先取特権を得られます。

  • 不動産の賃貸借
  • 旅館の宿泊
  • 旅客または荷物の運輸
  • 動産の保存
  • 動産の売買
  • 種苗または肥料
  • 農業の労務
  • 工業の労務

不動産を回収する特定の先取特権

不動産に関わる費用を負担した債権者は、土地・建物の換価した現金の回収が可能です。自分以外にも不動産を回収する特定の先取特権を持っている人物がいる場合は、以下の費用における債権を持つ人物が優先されます。

  • 第1順位:不動産の保存
  • 第2順位:不動産の工事
  • 第3順位:不動産の売買

先取特権の優先順位

一般の先取特権が最優先です。一般の先取特権は、共益の費用、雇用関係、葬式の費用、日用品の供給などの一般的な債権に対して優先的に回収されます。

その後、動産の先取特権と不動産の先取特権を持つ債権者が債権を回収します。

先取特権を行使する方法

先取特権を行使する際の流れについて詳しく見ていきましょう。

1.弁護士の相談

まずは、破産手続きに詳しい弁護士に相談しましょう。破産手続に詳しい弁護士は債権回収についても詳しい傾向があります。

2.訴訟準備

先取特権を行使する場合、訴訟を起こすことが必要な場合があります。債権と債務について弁護士に説明し、どのように対応すべきか指示を受けましょう。訴訟を起こすかどうかにかかわらず、弁護士は債権者の代理人として各種手続を代行できます。

3.債権の回収

先取特権を行使できる権利が確立されれば、債権者は債権の回収を進めることができます。これは債務者から財産や資産を差し押さえたり、競売にかけたりするプロセスを含みます。

4.強制執行

先取特権を行使する場合、強制執行が必要なことがあります。これは債権者が裁判所の許可を得て、債務者の財産を差し押さえることです。

5.債権の受領

債権者が債務者から財産や資産を回収した場合、その収益は債権者に支払われます。これにより、債権者は先取特権の行使による債権回収が完了します。

まとめ

先取特権を利用したい場合、他の債権者が持つ先取特権も踏まえて優先順位を確認することが先決です。多額の債権を回収できると思っていても、他の債権者の方が優先順位が高い場合、想定していた額を回収できない可能性があります。梅田パートナーズ法律事務所では、債権回収に詳しい弁護士が先取特権の行使を含め、全面的にサポートしております。少しでも多くの債権を回収したい、手続の負担を減らしたいという方はお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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