無税償却とは?有税償却との違いから種類・各種要件まで詳しく解説
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金融機関などの貸し手が借り手に対して融資をしたものの、借り手の財務状況が悪化したことで損失を受ける可能性がある場合には、無税償却を行うことで税金面の負担を軽くできます。今回は、無税償却と有税償却の違い、種類・各種要件などについて詳しく解説します。
無税償却とは
無税償却とは、銀行などが借主に対して「貸出債権(借金を返済してもらう権利)」を持っており、貸出先の財務状況が悪化したことで損失が見込まれる場合、損失した金額を損金に計上して税負担を軽減することです。
無税償却と有税償却の違い
無税償却のほか、有税償却という方法もあります。これは、損失を計上するものの損金とは認められないために税金の負担が軽くならない方法のことです。無税償却は税金面で有利な一方で、認められるには厳しい要件を満たさなければなりません。そのため、無税償却とあわせて有税償却についても理解しておくことが大切です。
無税償却の種類
無税償却には、直接償却と間接償却があります。それぞれの特徴や方法などについて詳しくみていきましょう。
直接償却
直接償却とは、資産から債権を切り離して損金処理する方法のことです。私的整理と法的整理が該当します。私的整理は、債権者が無償で債権を放棄する行為、法的整理は民事再生や会社更生などによって損失を切り捨てる行為です。
間接償却
間接償却とは、回収できないことが見込まれる債権額を貸倒引当金に計上し、あらかじめ費用化することで税負担を軽減する方法のことです。例えば、会社更生計画が認められた場合や、債務超過の状態が相当期間継続し、今後改善の見通しがないなどの場合に行います。
無税償却の要件
無税償却には厳しい要件が定められています。無税償却の要件について詳しくみていきましょう。
直接償却
直接償却は、以下によって切り捨てられた金額を損金に算入できます。
- 会社更生法に基づく更生計画の認可決定
- 民事再生法に基づく再生計画認可の決定
- 会社法に基づく特別清算の協定認可
- 債権者集会の協議決定(合理的基準を満たす)
- 行政・金融機関等の第三者のあっせん・協議による契約
- 債務者に対する書面による債務免除(債務超過が相当期間継続し、弁済の見込みがない場合のみ)
- 一定期間取引停止後に弁済がない
また、債務者の資産状況や支払能力などから全額の回収ができないことが判明した場合は、その事業年度において貸倒れとして損金に計上します。ただし、担保がある場合は担保処分後でなければ損金に計上できません。
また、次の該当する場合は、債権額から備忘価額(実質的な価値を失った金額)を控除した金額を損金に計上できます。
- 継続に取引があった債務者の資産状況や支払能力が悪化し、取引を停止した。なおかつ、最後の弁済から1年以上が経過した(担保がある場合は除く)
- 同じ地域の債務者に対する売掛債権の総額が取り立て費用よりも少ない、かつ支払を督促しても弁済されない
間接償却
間接償却では、要件を3つのパターンに分けることができます。
更生計画認可、再生計画認可、特別生産にかかる協定の認可、そのほか財務省令で定める事由が発生した際に、以下の金額を貸倒引当金繰入額として損金に算入できます。
債権額から「上記事由が生じた日が属する事業年度終了日の翌日から5年後までに弁済される予定の金額」と「担保などによる取立可能見込額」を控除した額
また、以下の事由が発生した場合は、「取り立てなどの見込みがないと認められる額」を損金に算入できます。
- 事業年度終了時において有する金銭債権の債務者について、債務超過の状態が相当期間継続しており、なおかつ事業の好転の見込みがない
- 災害や経済的事情の急変などによって多大な損害が生じた など
以下に該当する場合は債権金額の50%を損金に参入できます。
- 更生手続き開始の申立て
- 再生手続き開始の申立て
- 破産手続き開始の申立て
- 特別生産開始の申立て
- 上記事由に準じた財務省令が定める事由
- 国内法人が事業年度終了時に有する金銭債権の債務者である外国の政府などの長期間にわたる返済遅れにより、金銭債権の経済的価値の著しい減少および弁済を受けることが著しく困難な場合
まとめ
無税償却を行うには厳しい要件を満たす必要があります。要件を満たしていないのに無税償却すると税務署から指摘を受ける恐れがあるため、要件について十分に確認しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、無税償却の扱いや要件などに関する相談、各種サポート、債権回収ができないことによる経営悪化時の再生計画の策定などに対応しております。まずはお気軽にご相談ください。
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この記事を監修した弁護士
弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
大阪弁護士会【登録番号 49195】
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弁護士ご紹介
西村 雄大
弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。
弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。
経 歴
- 2010
- 京都大学 卒業
- 2012
- 神戸大学法科大学院 卒業
- 2012
- 司法研修所
- 2013
- 弁護士 登録
- 2014
- 中小企業診断士 登録
- 2014
- 梅田法律事務所 設立
- 2015
- 経営革新等支援機関 認定
- 2017
- 梅田パートナーズ法律事務所 改称
テレビ出演
・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。
・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。
著書および論文名
- ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
- ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
- ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載
事務所概要
- 住所
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