整理解雇とは?行うために満たす必要がある条件と具体的な手順も解説
整理解雇は、一般的にリストラと呼ばれており、原因は従業員ではなく会社側にあるとされています。そのため、整理解雇の条件を満たしていない状況で整理解雇を行うと、不当解雇になる恐れがあります。不当解雇による再雇用、訴訟による損害賠償請求などのリスクを抑えるためにも、整理解雇の条件を確認しておきましょう。ここでは、整理解雇の条件と具体的な手順をご紹介します。
整理解雇とは
整理解雇とは、人員整理を目的とした解雇のことです。経営を立て直したり合理化を進めたりする一環として行われます。30日前の解雇予告、あるいは解雇予告手当の支払いが義務づけられています。また、退職金制度がある企業の場合、整理解雇でも退職金の支払いが必要です。
整理解雇を行える条件
整理解雇を行うには、次の条件を全て満たす必要があります。
1.人員削減の必要性
客観的に見て、人員削減の必要性がない場合は、整理解雇を行えません。例えば、経営の悪化を理由にする場合でも、具体的な経営指標や数値で整理解雇の必要性を示す必要があります。経営の悪化の程度と削減する人員数が結びついて初めて、整理解雇の必要性があると判断されます。また、大規模な昇級や賞与の増額、採用活動などを行っている場合は、人員削減の必要性はないと判断される可能性があります。
2.解雇回避の努力
整理解雇は最後の手段であり、他の方法で経費削減に努めなければなりません。例えば、人員の異動や出向、希望退職者の募集、役員報酬の減額などがあります。それでも業績が改善せず、整理解雇の必要があると判断された場合は、正社員以外の人員の削減を実施します。
ここまで努力しても、整理解雇が必要な事態から抜け出せない場合にのみ、整理解雇を行えるのです。
3.人員選定の合理性
解雇対象者を合理的な基準で選定することも整理解雇を行う条件の1つです。基準に明確なルールはありませんが、勤務地や担当業務、所属部署、勤務成績、会社への貢献度、家族構成、年齢などがあります。当然ながら、私情を挟んだ人員の選定は認められません。
また、対象者の基準に性別を組み込むことは男女雇用機会均等法違反となるので注意しましょう。
4.解雇手続きの妥当性
解雇対象者や労働組合への説明が十分で、なおかつ協議を行ったことも条件の1つです。決算資料を用いて経営状況を伝え、整理解雇が必要な理由を十分に説明する必要があります。また、解雇の時期や規模、方法なども具体的に伝え、不明点の質問には確実に回答することが重要です。また、1回程度の交渉では十分な説明・協議が行われたと認められません。
整理解雇の手順
不当解雇にならないようにするには、正しい手順で整理解雇を進める必要があります。整理解雇の手順を詳しく見ていきましょう。
1.解雇基準の決める
解雇人数や対象者の範囲、除外事項、解雇日、退職金の取り扱いなど、解雇基準と解雇の詳細を決めます。対象者の範囲を明確に定めると、事業継続に必要な人材まで対象になる恐れがあるため、「事業継続に必要な人物は除く」といった除外事項を定めます。
退職金については、整理解雇は会社都合の雇用解除のため、必要に応じて優遇措置を講じることが大切です。
2.解雇実施の発表
整理解雇を行う旨を全社員に向けて発表します。通知には、整理解雇を行う理由と解雇人数、対象者、解雇日、退職金の取り扱いを記載してください。
3.解雇者の人選
整理解雇を行う旨を全社員に通知後、対象者を選定します。対象者が解雇人数を大きく超えている場合は、判断基準となる項目を増やす必要があります。家族構成や勤務態度、協調性など、事業との関連性が低い項目を設けることになるでしょう。
4.解雇の予告
整理解雇の対象者に、解雇を行う30日前までに解雇予告をします。正確に解雇予告をするために、口頭ではなく書面で予告しましょう。30日前までに解雇予告をしなかった場合は、30日を超えた分の平均賃金を支払う必要があります。これを解雇予告手当といい、次のように算出します。
平均賃金×日数=解雇予告手当
平均賃金は、過去3ヶ月に支払った賃金総額を3ヶ月の総日数で割って算出します。
5.解雇辞令の交付
解雇の実施日に解雇事例を交付します。解雇者の元へ確実に届ける必要があるため、可能であれば直接渡しましょう。直接渡せない場合は、書留郵便などで送付します。
まとめ
整理解雇は、会社の経営を立て直したり経営の合理化を図ったりする際に行う解雇です。条件を満たさない整理解雇は不当解雇の扱いになるため十分に注意しましょう。整理解雇を検討しており、不当解雇になるリスクを抑えたい方は、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。現状を詳しく確認の上で、整理解雇の必要性や合理性などを確認いたします。
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