法人破産の際に財産を隠すのは違法!罰則と注意点について解説

2024.5.20

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法人破産の際に財産を隠すことは違法であり、厳しい罰則が科されます。経営者や関係者が破産手続き中に財産を隠蔽すると、詐欺破産罪などの刑事責任を追及される可能性があります。本記事では、法人破産における財産隠しの違法性とその罰則について詳しく解説し、破産手続きにおける注意点についても紹介します。

破産した際に財産はどうなるのか

破産手続きを開始すると、債務者の財産は法的に管理され、債権者に対する返済に充てられます。破産手続きでは、基本的に現金化できる財産が処分対象となります。これには、不動産、車両、貴金属、高価な家電や家具などが含まれます。

破産手続きにおいても、最低限の生活を維持するために必要な財産は保護されます。例えば、家具や家電、衣類などの日常生活に欠かせない物品、99万円までの現金、仕事に必要な道具や機器、退職金の一部などです。

破産手続きが開始されると、裁判所が破産管財人を選任し、財産の調査と管理を行います。破産管財人は、債務者の財産を売却し、その収益を債権者に分配します。この手続きを通じて、債務者の借金の整理が進められます。

法人破産の際に財産を隠したらどうなるのか

法人破産の際に財産を隠したらどうなるのか詳しく見ていきましょう。

詐欺破産罪に問われる

法人破産の際に財産を隠すことは重大な犯罪行為です。もし経営者が財産を隠蔽すると、「詐欺破産罪」に問われる可能性があります。詐欺破産罪は、破産法に基づき、破産手続き中に不正な行為を行った者に適用されます。具体的には、財産を隠したり、価値を過小評価して報告したりする行為が該当します。

罰則は、1,000万円以下の罰金または10年以下の懲役、あるいはその両方です。

否認権が行使される

法人破産の際に財産を隠す行為が発覚すると、破産管財人は「否認権」を行使することができます。否認権とは、破産手続き開始前に債務者が行った不正な財産処分を無効にし、その財産を破産財団に取り戻すための権利です。これにより、隠された財産は再び債権者への返済に充てられることになります。

破産管財人は、まず不正行為の証拠を収集し、裁判所に対して否認の申し立てを行います。裁判所は証拠を審査し、否認が妥当であると判断した場合に、財産の戻しを命じます。この制度により、債権者は公平な返済を受けることができるのです。

法人破産を適切に行うための注意点

法人破産を適切に行うためには、法的手続きを正確に理解し、慎重に進めることが重要です。以下に、法人破産を円滑に進めるための注意点を解説します。

早めの専門家相談

破産手続きは複雑であり、法律や会計の専門知識が必要です。早期に弁護士や会計士などの専門家に相談することで、適切な手続きを踏み、リスクを最小限に抑えることができます。

例えば、経営難に陥った際にすぐに弁護士に相談することで、破産手続きの流れや必要な書類について正確なアドバイスを受けられます。これにより、手続きがスムーズに進行し、混乱を避けることができます。

正確な財産報告

破産手続きでは、会社の全財産を正確に報告することが求められます。財産の隠蔽や不正確な情報提供などによって、否認権の行使を受けたり詐欺破産罪に問われたりする可能性があります。

例えば、破産手続きを始める前に全ての資産(不動産、機械設備、在庫、現金など)を正確に申告することで、破産管財人が迅速に資産を整理し、債権者への分配の計画を立てやすくなります。

従業員への誠実な対応

従業員に対して誠実に状況を説明し、適切な対応を取ることが重要です。特に解雇する場合には、解雇予告手当の支払いなど、労働基準法を遵守することが求められます。

例えば、倒産を決定した際に30日前に解雇予告を行い、全従業員に対して説明会を開くことで、従業員の理解と協力を得ることができます。30日以内に通知した場合は、解雇予告手当の支払いも適切に行いましょう。

債権者とのコミュニケーション

債権者に対しても誠実に対応し、適切な情報提供を行うことが重要です。破産手続き中に債権者との信頼関係を維持することで、手続きが円滑に進みます。

例えば、主要な債権者に対して説明会を開催し、財務状況や破産手続きの進行状況を詳細に説明することで、債権者の信頼を得やすくなります。

まとめ

経営者が財産を隠蔽すると、詐欺破産罪に問われ、1,000万円以下の罰金や10年以下の懲役が科される可能性があります。また、破産管財人が否認権を行使し、不正に処分された財産を取り戻すこともあります。これにより、隠された財産は再び債権者への返済に充てられます。法人破産を適切に行うためには、早めに専門家に相談し、正確な財産報告を行い、従業員や債権者に誠実に対応することが重要です。

梅田パートナーズ法律事務所では、法人破産を全面的にサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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