破産債権 ・破産債権者とは?その種類と債権回収の優先順位

破産者に対してお金を貸していた場合は、自分は破産債権者に該当する可能性があります。そのほか、財団債権者という債権者もいるなど、複雑な仕組みになっているため、破産者にお金を貸していた方は確認しておくことが大切です。ここでは、破産債権・破産債権者とは何か、その種類や債権回収の優先順位について詳しくご紹介します。
この記事の監修者
弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所
代表弁護士 西村 雄大
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今回の記事で書かれている要点 (目次)
破産債権とは
破産法では、債権者が持つ債権を「破産債権」と「財団債権」に分けています。分ける基準は、公益性や重要度などです。財団債権は、破産手続きとは関係なく破産した財団から随時弁済を受けることが可能な債権です。そして、財団債権を持つ債権者を「財団債権者」といいます。
一方で破産債権は、財団債権に該当せず、破産手続き開始前に起きた原因によって生じた財産上の請求権のことです。そして、破産債権を持つ債権者が「破産債権者」です。
企業間の売掛金や貸付金、未収金などは、基本的にいずれも破産債権に該当します。そのため、随時弁済を受けるのではなく、破産手続きによって定められた配当によって、一部または全額を返済されることになります。
破産債権の種類
破産債権には、4つの種類があります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
優先的破産債権
優先的破産債権は、他の破産債権よりも優先的に配当を受けられる破産債権です。
一般の破産債権
一般の破産債権は、他の破産債権に該当しない破産債権のことです。破産債権のうち、一般の破産債権が多くを占めます。例えば、金融機関からの借り入れや買掛金、売掛金などが該当します。
劣後的破産債権
劣後的破産債権とは、優先的破産兼と一般の破産債権を持つ破産債権者に対して配当された後、余剰があれば配当を受けられる破産債権です。
約定劣後的破産債権
約定劣後破産債権は、配当の優先順位が最も下位の破産債権です。多くの場合は、配当を受けられません。
破産債権として認められるための一般的要件
破産債権者と認められるには、次の一般的要件を満たす必要があります。
- 金銭的評価が可能な請求権
- 財産上の請求権(金銭の給付によって債権を回収したことになる請求権)
- 破産者に対する請求権
- 民事執行が可能な請求権
- 破産手続きを始める前の原因による債権
- 財団債権ではない債権
一般的要件を満たしているかどうか確認しましょう。
一般的要件を満たさない破産債権に含まれる請求権
一般的要件を満たしていなくても、破産債権に含まれる請求権があります。以下の破産債権が該当します。
一 破産手続開始後の利息の請求権
二 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
三 破産手続開始後の延滞税、利子税若しくは延滞金の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
四 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
五 加算税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第四号に規定する過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。)若しくは加算金(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号に規定する過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金をいう。)の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
六 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
七 破産手続参加の費用の請求権
八 第五十四条第一項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権
九 第五十七条に規定する債権
十 第五十九条第一項の規定による請求権であって、相手方の有するもの
十一 第六十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する債権
十二 第百六十八条第二項第二号又は第三号に定める権利
引用:e-Gov『破産法 第九十七条』
このように、一般的要件を満たしていなくて破産債権に含まれるかどうかは、法的な知識がなければ判断できません。そのため、弁護士に相談して、破産債権に含まれるかどうか確認が必要です 。
破産債権者間における債権回収の優先順位
破産債権者における債権回収の優先順位は次のとおりです。
- 1.優先的破産債権
- 2.般の破産債権
- 3.劣後的破産債権
- 4.約定劣後破産債権
また、次のように優先的破産債権の中でも優先順位があります。
- 1.公租(国税・地方税)の請求権
- 2.公課(国民年金や国民健康の保険料など)の請求権
- 3.共益費用の請求権
- 4.雇用関係の請求権
- 5.葬式費用の請求権
- 6.日用品の供給の請求権
複数の破産債権者における優先的破産債権が重複している場合は、債権額に応じて比例配分されます。これは、優先的破産債権以外の破産債権も同様です。
まとめ
破産債権と破産債権者は複雑なため、まずは弁護士に相談して破産債権の種類を確認することが大切です。破産債権の種類によっては弁済を受けられない可能性が高くなるため、正しく把握する必要があります。「梅田パートナーズ法律事務所」では、破産や会社の再生など、さまざまなサポートを行ってきた経験に基づき、破産債権に関する情報提供やアドバイスなどを行えます。1人ひとりに寄り添ったサポートを心がけておりますので、お気軽にご相談ください。
破産債権・破産債権者に関するFAQ
- Q「破産債権」とは何ですか? 普通の借金と違うのですか?
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破産手続き開始の「前」の原因に基づいて発生した請求権のことです。 破産法上、債権は大きく分けて「破産債権」と「財団債権(ざいだんさいけん)」の2種類に分類されます。 「破産債権」は、原則として破産手続きの中でしか配当を受け取れず、勝手に取り立てをしてはいけない債権です。一般的な借金、買掛金、損害賠償請求権などはこれに該当します。
- Q「財団債権」という言葉を聞きました。破産債権と何が違うのですか?
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支払い順位の優先度が全く違います。「財団債権」が最強です。 「財団債権」とは、破産手続きによらず、いつでも随時弁済を受けられる権利です。 例えば、破産管財人の費用、一定範囲の従業員の給料、破産手続き開始「後」の家賃などがこれにあたります。破産会社に残ったお金は、まずこの「財団債権」に全額支払われ、それでも余りがあれば初めて「破産債権」への配当に回されます。
- Q破産通知が届きました。私は「破産債権者」ですが、何をすればいいですか?
-
裁判所から指定された期間内に「破産債権届出書」を提出する必要があります。 届出をしないと、たとえ会社に資産が残っていても、配当(返金)を受ける権利を失います(失権)。 「どうせお金は戻ってこないだろう」と諦める場合や、金額がごく少額の場合は、手間を考えてあえて届出をしないという選択肢もありますが、権利を主張するなら届出は必須です。
- Q届出をすれば、全額返ってくるのですか?
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残念ながら、全額返ってくることは極めて稀です。 破産する会社や個人は、資産よりも負債が圧倒的に多い状態です。 財産を現金化し、税金などの優先的な支払いを済ませた後に残ったお金を、債権額に応じて山分け(按分)します。これを「配当」と言いますが、実務上、配当率が数%、あるいは「0円(異時廃止)」で終了するケースが大半です。
- Q税金や社会保険料も「破産債権」に含まれますか?
-
原則として含まれません。これらは優先権のある「財団債権」になります。 税金や社会保険料は、破産手続きにおいても非常に強力な権限を持っており、一般の破産債権(銀行のローンや取引先の売掛金)よりも優先して回収されます。 したがって、破産会社にお金が少ししか残っていない場合、税務署がすべて持っていき、一般の債権者には一銭も回らないということが頻繁に起きます。
- Q破産債権者として、勝手に債務者の財産を持ってきたり、相殺してもいいですか?
-
原則禁止ですが、「相殺」には例外があります。 破産開始決定後に、債務者の財産(商品在庫など)を勝手に持ち出すと窃盗罪などになります。 ただし、「相殺権」については、破産法上で保護される場合があります。あなたが破産者に対して「貸金」を持ち、同時に「買掛金(支払う義務)」を持っている場合、一定の条件を満たせば、対当額で相殺して実質的な回収を図ることが認められています。
- Q破産債権届出書の提出期限を過ぎてしまいました。もう手遅れですか?
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調査期間の終了前であれば、「追完(ついかん)」できる可能性があります。 ただし、遅れたことについて正当な理由がない場合は、費用(数千円〜数万円程度)をあなたが負担しなければなりません。 配当の手続きが完了してしまった後では、どんな理由があっても配当を受けることはできません。通知が届いたらすぐに手続きすることが重要です。
- Q私は抵当権を持っています(担保付きローン)。これも破産債権として届け出る必要がありますか?
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抵当権などの担保権は「別除権(べつじょけん)」と呼ばれ、破産手続きの外で回収できます。 担保権者は、破産管財人の許可を待たずに、担保不動産を競売にかけるなどして優先的に回収できます。 ただし、担保を売っても回収しきれなかった残金(不足分)については、通常の「破産債権」となります。そのため、不足が出ることが明らかな場合は、その予定不足額を破産債権として届け出ておくのが実務上の定石です。
- Q養育費や罰金も、破産したら払わなくてよくなりますか?(免責されますか?)
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いいえ、支払義務は残ります。これを「非免責債権(ひめんせきさいけん)」といいます。 破産手続き上の分類としては「破産債権」として扱われますが、破産手続終了後(免責許可決定後)も支払義務が消えません。 税金、罰金、養育費、悪意で加えた不法行為による損害賠償などは、借金帳消しの対象外です。
- Q債務者(破産する人)が、わざと私の名前を債権者一覧表から外しました。どうなりますか?
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その債権だけ「免責されない(借金が消えない)」可能性があります。 債務者が、特定の債権者を隠したり、忘れたふりをして債権者名簿(債権者一覧表)に記載しなかった場合、その債権者に対する借金は免責の対象外となるという規定(破産法第253条1項6号)があります。 債権者としては、自分が外されていることを知ったら、裁判所に抗議し、債権届出を行うとともに、免責への異議を申し立てるべきです。
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