相続廃除とは?要件・手続き方法について解説

2024.3.15

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

相続廃除とは、相続人が一定の条件を満たす場合に、相続人ではなくならせることです。最低限の相続分である遺留分も請求できなくなるため、一切の財産を相続させないようにできます。しかし、相続廃除は簡単には行うことができません。

本記事では、相続廃除の要件や手続き方法について詳しく解説します。

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相続廃除とは

相続廃除とは、長年の暴力や虐待、または多額の借金や重大な犯罪などにより、相続人が被相続人から受けた迷惑や被害を考慮し、その相続権を放棄させることを指します。この制度は、被相続人の遺留財産を受け取ることによって生じる負債やリスクを回避するために用いられます。

被相続人が家庭裁判所に対して相続廃除を請求し、認められることで相続人の相続権が剥奪されることになります。

相続廃除が確定すると、相続人の戸籍にその旨が記載され、遺産を相続する権利を喪失します。また、遺留分も相続できなくなります。

相続廃除の要件

相続廃除が行われる条件は以下のとおりです。

  • 相続人が被相続人を虐待した
  • 重大な侮辱を与えた
  • 相続人に著しい非行があった
  • 重大な犯罪行為によって有罪となった
  • 被相続人の財産を相続人が不当に処分した
  • ギャンブルによって負った借金を肩代わりさせた
  • 不貞行為をした
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由があった

相続欠格との違い

「相続欠格」とは、民法891条に規定されている5つの欠格事由に該当する場合、相続人が相続権を喪失または剥奪される制度です。この制度は、相続秩序を侵害する重大な非行をした相続人に対して、法的に相続権を剥奪する措置を取るものです。

相続廃除の手続き方法

相続廃除を行う手続きは、生前廃除と遺言廃除の2つです。

生前廃除

生前に相続廃除したい場合は、自らが家庭裁判所に申し立てる必要があります。具体的な手続きは、推定相続人排除の審判申立書と必要書類を提出し、審判手続きを行うことです。費用は、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手代です。

遺言廃除

遺言で廃除の意思を表示する方法もあります。遺言書の中に廃除の旨を明記することで行います。具体的には、遺言執行者が死後に家庭裁判所に申立てを行います。そのため、遺言で遺言執行者の指定をしておくことが重要です。

相続廃除の申立て後はどうなる?

家庭裁判所で審判手続きが行われ、相続廃除が認められた場合は、10日以内に戸籍の届出を行う必要があります。相続廃除の事実は相続人の戸籍に記載されます。

相続廃除が認められないケース

相続廃除を申し立てる際、推定相続人による暴力や非行があっても、その背景に被相続人の行為があると、相続廃除を認められない事態になりかねません。

たとえば、夫が妻に対して虐待を行っており、その子供が母親を守るために父親に暴行を加えた場合、子供の相続廃除を申し立てても認められないことがあります。

また、推定相続人が被相続人に対して損害を与えたとしても、その行為が相続関係に影響を与えないと判断されれば、相続廃除が認められないことになりかねません。

相続廃除は遺留分の請求もできなくなるため、家庭裁判所が財産の分与を止めるだけの十分な理由が必要です。

代襲相続までは防ぐことができない

相続廃除は、その当事者にのみ効力が及ぶため、代襲相続には影響がありません。代襲相続とは、子供が相続廃除された場合に、孫が子供の相続権を引き継ぐ制度です。

子供や孫から虐待を受けている場合、子供が相続廃除されても孫は推定相続人には含まれません。孫にも著しい非行がある場合、相続財産を彼らに譲りたくないと思うかもしれません。その際は、遺言書で他の相続人に多くの財産を相続させることも検討しましょう。

ただし、代襲相続人には遺留分が与えられるため、遺留分を侵害しないように十分に慎重に行動する必要があります。

相続廃除は取り消しが可能

相続廃除は取り消しできます。そのため、廃除した相続人が改心した際は、家庭裁判所に相続廃除を取り消すように申し立てが可能です。

申立ての手順は相続廃除と同じで、生前の取り消し、遺言書による取り消しのどちらでも行えます。

推定相続人が虐待や暴行などを行ったことを反省し、関係が元に戻った場合には、早めに相続廃除を取り消しましょう。そのまま放置すると、相続廃除の取り消しを忘れてしまい、さらなるトラブルになるおそれがあります。

まとめ

相続廃除は、相続人が特定の条件を満たす場合に、その相続権を剥奪する制度です。梅田パートナーズ法律事務所は、相続廃除の手続きの代行や各種サポートを行っております。また、特定の相続人に財産を相続させたくない場合の対策も可能です。相続でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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西村 雄大Takahiro Nishimura

弁護士法人梅田パートナーズ法律事務所は、確かな実績を積む30代の若い弁護士2名と事務スタッフ数名が在籍しております。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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