遺言書に有効期限はある?無効となるケースや注意点を解説
遺言書は法的拘束力が強いものの、いくつかのケースでは効力を失ってしまいます。ここで気になるのが有効期限はあるのかということではないでしょうか。有効期限と呼ばれるものはないものの、いくつかの注意点があります。本記事では、遺言書の有効期限と注意点について詳しく解説します。
遺言書に有効期限は存在しない
遺言書には有効期限が存在しません。つまり、作成した遺言書が一度有効になれば、特定の期間が経過したり、ある事象が発生したりすることでその有効性が失われることはありません。遺言者が意思を表明し、その意思を後世に残す手段としての遺言書は、一度有効となったら基本的には永続的に尊重されるべきものとされています。
公正証書遺言は保管期間に注意
公正証書遺言は公証役場で保管されるため、その信頼性が高く、意図的な破棄・紛失・偽造といったリスクが低い特長があります。しかし、公証役場での保管期間には留意すべき点が存在します。法律によれば、原則として公正証書遺言は20年間保管されることとなっています。
ただし、特別な事由により保存が必要な場合や、遺言者が20年経過時点で生存している場合などは例外とされ、保存の義務が続きます。
公証役場で遺言書が保管されている場合、遺言者が自宅や貸金庫などに保管していた遺言書の写しを紛失しても、公証役場で謄本を取得することが可能です。ただし、公正証書遺言が保管期間を経過した後に、謄本を紛失した場合は注意が必要です。保管期間を経た遺言書は公証役場から取り出すことができず、その内容を再度証明することが難しくなります。
遺言者や家族は、公正証書遺言の保管期間や取扱いについて正確な情報を知り、必要な手続きを適切に行うことが重要です。
遺言書が無効になるケース
遺言書の有効期限については気にする必要はありませんが、次のような場合は遺言書そのものが無効になる可能性があります。
書式・押印などに問題がある
遺言書には書式や押印に関する注意があります。まず、作成日の記載は必須事項であり、これが欠けていると遺言書は即座に無効となります。さらに、具体的な日付が特定できない曖昧な表記も無効とされますが、特定できる記載方法は有効です。
遺言書の作成日の注意点は、複数の遺言書が存在する場合に作成日の新旧によって有効性が判断されることにあります。
遺言者本人の署名・押印も重要です。通常は戸籍上の氏名が使用されますが、同一性が示されればペンネームや芸名も有効です。押印については実印が必須ではなく、認印や拇印も可能ですが、認印の使用には慎重さが求められます。被相続人が作成した遺言書なのかどうかのトラブルを避けるため、実印での押印が望ましいです。
内容を読み取れない
遺言書の内容が確定できない場合、その遺言は無効とされます。ただし、遺言者の最終的な意思を尊重する立場から、できる限り有効となるように解釈が試みられます。見た目では内容が不明確に見える場合でも、諸般の事情から遺言者の真意を解釈し、その内容によっては遺言を有効と判断する裁判例があります。
法廷での訴訟においては細かな状況や背景が重要な判断材料となります。
遺言能力がない状態で作成した
遺言者が認知症などで遺言能力がない場合、その遺言は無効となります。ただし、認知症であるからといって自動的に遺言が無効になるわけではなく、遺言能力は遺言者が内容を理解し弁識できるかどうかで判断されます。具体的な遺言能力の定義はないが、遺言時の言動や健康状態、遺言書の内容などを考慮して総合的な判断が行われます。
共同で作成された
複数の人によって作成された遺言書は「共同遺言」と呼ばれ禁止されています。夫婦が共同で作成しても無効とされ、遺言書は個別に各人が作成する必要があります。民法上、一人の遺言者の意思を正確に反映させるためには、各人が独自の遺言書を作成することが求められます。したがって、複数人での共同作成は避け、個別の遺言書の作成と遺言者の遺志を尊重することが重要です。
まとめ
遺言書には有効期限が存在せず、一度有効になったら永続的に尊重されます。ただし、公正証書遺言は20年間の保管が原則で、公証役場での取り扱いに留意が必要です。遺言書が無効になる可能性もあるため、書式や押印、内容の読み取り可否、遺言者の能力などに慎重に注意が必要です。認知症などで遺言能力がない場合や、複数人での共同作成は無効となります。遺言者や家族はこれらの注意点を理解し、遺言書の作成や取り扱いに関して慎重な対応が求められます。
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2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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