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相続財産を使い込まれたときはどうする?取り戻す方法や対策について解説

2023.10.1

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

親が亡くなったときや親が認知症で判断能力を失ったときなどに、相続財産または相続予定の財産を親族が使い込むケースがあります。このような場合、相続財産を取り戻すことはできるのか気になる方が多いでしょう。今回は、相続財産を使い込まれた場合の対処法について詳しく解説します。

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相続財産の使い込みとは

相続財産の使い込みは、相続が発生する前後で相続人や他の関係者が、亡くなった人の財産を勝手に使用したり、不正に取引を行ったりする行為を指します。具体例を見ていきましょう。

預貯金を勝手に引き出して使う

高齢の親の口座から無断で預金を引き出し、自身や自身の子供のために使用するケースがあります。親から信頼されているためにキャッシュカードと暗証番号を知っている場合が多く、使い込みかどうかの判断が難しいケースも少なくありません。

口座名義人が亡くなると、金融機関は口座を凍結しますが、その情報が伝わるまでにタイムラグがあります。この間、キャッシュカードと暗証番号を知っている人がATMから預金を引き出し、使い込む場合があります。被相続人の死亡後の引き出しの場合は、使い込みの判断がしやすいでしょう。

勝手に資産を売り払う

認知症の親を騙し、有価証券などの資産を売却して得たお金を親に渡さずに自身が持って行くケースがあります。また、相続が発生した際も被相続人の本人確認書類を持ち出し、資産を勝手に売却し、不当に相続財産を取得するケースも少なくありません。

財産が使い込まれたかどうか確認する方法

財産が使い込まれたかどうかを確認するために、財産の移動や取引に関連する文書を確認しましょう。例えば、銀行取引明細、資産証券の取引記録、不動産の契約書などがあります。

使い込まれた相続財産を取り戻す流れ

相続財産が使い込まれたことが発覚した際は、次の流れで対応しましょう。

1.証拠を集める

まずは、証拠を集めるために金融機関へ預金口座の詳細データを発行するように請求します。必要書類は金融機関で異なりますが、多くの場合は次の書類を求められます。

  • 口座名義人の死亡を証明できる戸籍謄本や除籍謄本
  • 請求者が該当口座の相続人であることを証明する戸籍謄本や除籍謄本
  • 請求者の実印と印鑑証明書

個人の請求を受け付けない場合は、弁護士に依頼しましょう。弁護士は特別な照会制度を使用して金融機関から取引履歴を取得できる可能性があります。それでも難しい場合は、裁判所を介して取引履歴を請求します。このプロセスは時間と労力、専門知識が必要なため、弁護士への相談は必須でしょう。

2.話し合う

証拠を集めたら、相続財産を使い込んだ人物と話し合いましょう。自分の主張を裏付けるために、証拠を提示してください。

3.話し合いで解決しない場合は遺産分割調停をする

話し合いで解決できない場合は、遺産分割調停を行いましょう。従来では、相続財産の使い込みは遺産分割調停の対象外でしたが、2018年の改正民法で対象となりました。

ただし、相続が始まる前に使い込まれた場合には、後述する他の方法を取る必要があります。遺産分割調停では、調停委員が双方の主張を聞き、良い落とし所で話がまとまるようにサポートしてくれます。話し合いでは感情的になることで解決できなかった問題も、調停委員が間に入ることで解決する可能性があります。

4.最終的には訴訟を起こす

遺産分割調停では解決しなかった場合は、訴訟を起こしましょう。不当利得返還請求によって、使い込まれた相続財産を取り戻せる可能性があります。ただし、権利行使が可能なことを知ったときから5年、または権利を行使できるようになってから10年が時効です。

そのほか、不法行為に対する損害賠償請求でも対応できる可能性があります。これも、。損害および加害者を知ってから3年、または不法行為が行われてから20年が時効です。

これらの方法でも難しい場合は、遺留分侵害額請求を行います。これは、相続人に保証された「遺留分」が侵害された場合に、その相当額を請求する手続きです。時効は、相続の開始および遺留分の侵害が生じたことを知ったときから1年、または相続開始から10年です。

まとめ

相続財産を使い込まれた際は、まず証拠を集めることが大切です。時間がかかると事態が複雑化する恐れがあるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。梅田パートナーズ法律事務所では、相続財産の使い込みに対する対応はもちろん、使い込まれないための対策についてもアドバイスしております。

相続をきっかけに親族間で不仲になるケースは少なくないため、事前にしっかりと対策しておくことが大切です。

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STAFF
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西村 雄大Takahiro Nishimura

弁護士法人梅田パートナーズ法律事務所は、確かな実績を積む30代の若い弁護士2名と事務スタッフ数名が在籍しております。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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所属団体大阪中小企業診断士協会
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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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