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家賃収入があるときの相続はどうする?受け取る人・相続割合などについて解説

2023.7.20

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

被相続人が不動産経営で家賃収入を得ている場合、誰が家賃収入を継続的に受け取る権利を得るのでしょうか。継続的に収入を得られるとなれば、預貯金や貴金属などよりも魅力的に見えるのは言うまでもありません。

今回は、家賃収入があるときの相続をテーマに、受け取る人や相続割合などについて詳しく解説します。

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家賃収入を受け取る権利を相続する人はどうやって決まる?

家賃収入を受け取る権利は、遺言書の有無によって決まります。

有効な遺言書がある場合は、遺言書に指定された相続人が家賃収入を受け取る権利を得ます。遺言書がない場合は、遺産分割協議によって相続人全員で協議を行い、誰が家賃収入を得るかを決めます。

例えば、遺言書に「不動産は長男に相続させる」と記載されている場合、その不動産から得られる家賃収入は長男が受け取ることになります。遺言書がない場合、相続人全員が遺産分割協議を行い、家賃収入を得る相続人を決定します。また、遺産分割協議が成立するまでの間に家賃収入が発生した場合、各相続人は相続分に応じてそれぞれの収入を得ることになります。

収益物件の相続における注意点


収益物件を相続する際は、次の注意点を押さえましょう。

共有名義は避ける

遺産分割協議がまとまらず、賃貸物件を共有で相続するケースはよくあるものですが、共有状態の賃貸物件はいくつかのリスクがあります。

賃貸物件が共有名義の場合、家賃収入を共有者間で分配することになります。その際、収入の分配割合や管理費用の負担割合を決めることが必要です。これによりトラブルが生じる可能性が高まります。

また、共有名義の賃貸物件を修繕したり売却したりする場合には、共有者全員の同意が必要です。共有者の意見が一致しない場合、円滑な不動産経営ができなくなります。

将来の収益やローン残債なども考慮する

賃貸物件を相続することは、将来の収益を期待できる一方で、いくつかのリスクを伴うことがあります。まず、注意したいのが相続する賃貸物件にはローンが残っている場合があることです。

家賃収入でローン返済をまかなえている状況であったとしても、それが完済まで続くとは限りません。また、賃貸物件の入居者が家賃滞納を続けている場合があります。家賃収入が減少することで、予想よりも利益が少なくなることもあるでしょう。

収益物件の相続時は確定申告を行う


収益物件を相続する際は、確定申告を行う必要があります。被相続人が亡くなるまで、遺産分割協議が終わるまで、遺産分割後の3つに分けて、確定申告について詳しく見ていきましょう。

被相続人が亡くなるまでの分は準確定申告を行う

被相続人が亡くなる年の1月1日から亡くなった日までに発生した家賃収入は、被相続人の所得となります。この間に発生した所得は、被相続人の代わりに相続人が準確定申告を行います。準確定申告は、亡くなった日から4ヶ月以内に行い、相続人が納税しなければなりません。

準確定申告書は、原則としてすべての相続人が全員で行うこととされています。すべての相続人が法定相続割合により税金を負担します。遺言書がある場合は、指定相続分により税額を按分して納付します。

この納付税額は相続税の計算上、債務として相続財産の額から控除します。また、準確定申告によって所得税が還付される場合もありますが、その際も法定相続分または指定相続分により、還付金額を相続人間で按分します。

遺産分割が終わるまでの間の分も確定申告が必要

相続人が確定していない場合、相続財産は相続人の共有となります。この場合、共有財産から発生した所得については法定相続人全員による確定申告が必要とされています。法定相続分で所得を按分することになります。

共有となっている財産の申告を行う際も、各相続人が個別に確定申告を行う必要があります。所得金額は全体の所得金額を計算してから相続人間で按分されるため、各相続人が個別に計算することはできません。

遺産分割後は相続人が確定申告を行う

遺産分割が完了すると、賃貸物件を相続する人が正式に決まります。相続人が決定した日から後に発生する所得は、相続した人のものとなります。そのため、相続人は所得金額を計算し、その所得に応じた所得税を納付しなければなりません。

遺産分割の結果、1つの賃貸物件を複数の相続人で共有する場合も考えられます。この場合、各相続人はそれぞれの所有割合に応じて所得金額を計算し、納税しなければなりません。所得金額の計算は、全体の所得計算を行った後に、それぞれの所有割合で按分されます。

遺産分割後は、相続人が個別に所得税の申告を行う必要があります。それぞれの相続人が所有する資産や所得が異なるため、個別に計算して納税することが求められます。

まとめ

家賃収入は継続的に利益を得られることから大きな魅力を感じるものですが、同時にローン返済を抱える可能性もあります。また、不動産経営が必ずしもうまくいくとも限りません。家賃収入を得る権利の相続については、被相続人が適任者を遺言書で指定しておくとスムーズでしょう。

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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

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経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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