滞留債権を回収する方法3つ|回収するためのポイントも解説

2022.7.10

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滞留債権の支払いを求めても先方が応じない、事情で売上が減少したため支払えないと言われたなど、さまざまなケースがあります。この場合、滞留債権の回収を諦めなければならないのでしょうか。まずは、書面で滞留債権の支払いを求めたうえで交渉し、それでも支払われない場合は訴訟も検討しましょう。

ここでは、滞留債権を回収する方法を3つ具体的に紹介します。

滞留債権とは

滞留債権とは、支払い期限が過ぎているのに入金の確認ができない売掛金のことです。売掛金は、掛け売り取引において発生する未回収の売上であり、債権の一種です。売掛金は入金予定日前のものを指し、入金予定日を過ぎたものは滞留債権と呼びます。

なお、長期滞留債権や長期未収入金という言葉もあり、それぞれの違いは「入金予定日からどれだけの期間が経過しているか」です。滞留債権は入金予定日から6ヶ月、長期滞留債権は6ヶ月~1年、長期未収入金は1年以上が基準となります。

滞留債権を回収する3つの方法

滞留債権は、すでに入金予定日を過ぎている売掛金のため、回収は簡単ではありません。どのような事情があるにしても、売掛金は期日までに支払う必要があります。取引先との関係を崩したくなかったとしても、滞留債権の回収には毅然とした対応が求められます。

それでは、対流債権を回収する3つの方法を解説します。

取引先への確認

滞留債権が発生したときは、なるべく早く取引先に連絡しましょう。連絡が遅れると、滞留債権の重要性を認識していないと思われ、回収がますます難しくなる可能性があります。連絡は電話やメールで問題ありませんが、いずれの場合も高圧的な態度を取ることは避けましょう。

売掛金の支払いは済んだのか、請求書は確認したのかなど、間接的な伝え方をしてみてください。

催促状や督促状を送る

滞留債権の支払いについて連絡したにもかかわらず、取引先から返答がない場合には、支払う意志がないと見なせるでしょう。その場合は、催促状や督促状で支払いを催促しましょう。

支払い確認の連絡よりもメッセージ性が強い内容にすることで、相手に心理的な影響を与えられます。なお、催促状は督促状よりも柔らかく支払いを催促する文書のため、督促状よりも前に出すことが一般的です。

督促状では、支払いを強く促すとともに、支払わない場合は法的措置を取ることを伝えます。

法的措置を取る

催促状や督促状を送付しても反応がない、支払われない場合は、支払督促や差押えなどの法的手段を行います。支払督促とは、裁判所から取引先へ支払を督促するよう申し立てることです。裁判所が取引先へ直接送付するため、早期の対応が必要であることを認識させられます。

支払督促が出ると、裁判で勝つか支払いをするかしなければ財産を差し押さえられるため、諦めて支払うケースも少なくありません。

滞留債権を回収できない場合は貸倒損失を計上する

取引先が倒産したり、著しい経営難に陥っていたりするために、滞留債権を回収できない場合があります。その場合は、貸倒損失を計上して金銭的負担を少しでも軽くしましょう。

本来、回収した売掛金は利益として計上しますが、回収不能に陥った場合は損失として計上できます。損失として計上すれば、利益と相殺できることで税金の支払い負担を抑えられます。なお、貸倒損失として計上できるのは、全額回収不能になった場合、一定期間取引停止となった場合、債権が切り捨てられた場合です。

金銭債権の切り捨ては、会社更生法や金融機関等の更生手続等の規定に基づき行われます。金銭債権が全額回収不能になるのは、債務者の支払能力や資産状況から回収が不可能と判断された場合です。

最後に、「一定期間取引停止」の基準は、最後の弁済と取引停止のいずれか遅い方から1年以上が経過したときや、同一エリアの債務者の売掛金が取り立ての必要経費よりも少ないときなどです。

滞留債権が多額な場合、回収できないことで倒産に追い込まれるケースも少なくありません。また、取引先も別の会社から売掛金を回収できないために、こちらの売掛金を支払えずにいる可能性もあります。連鎖倒産が起きる恐れもあるため、事情を速やかに把握したうえで適切に対処することが大切です。

まとめ

滞留債権は、入金予定日を過ぎても支払われていない売掛金です。支払われる予定のものが支払われていないことで、他の企業への買掛金を支払えなくなる恐れもあります。長期間放置すると、ますます回収が難しくなるため、なるべく早く対処することが大切です。売掛金の回収に関する取引先との交渉、法的措置などは、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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