【資金調達】法人契約の保険を解約して資金を得る手法とそのメリット・デメリット
資金調達には、金融機関からの借り入れやベンチャーキャピタルの利用などさまざまな方法があります。中でも忘れがちなのが法人契約の保険を解約することによる資金調達です。保険は万一に備えるためのものであるため、解約にはリスクを伴います。そのため、解約する保険を慎重に選定し、本当に解約しても良いかどうか判断が必要です。
ここでは、法人契約の保険を解約して資金調達する方法と、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
法人契約の保険解約で資金調達できる理由
法人契約の保険の中でも解約返戻金があるものを解約することで、資金調達できます。解約時に解約返戻金を受け取れない掛け捨てタイプの保険は、解約しても資金調達はできません。
経営者が加入していることが多い保険の種類
経営者は、自身に万一のことがあったときに備えるための保険、役員や従業員が亡くなった際に遺族に渡す死亡退職金のための保険、節税のための保険などに加入しています。どのような保険に加入することが多いのか、保険の特徴とあわせて詳しく見ていきましょう。
終身保険
終身保険とは、生涯あるいは一定の年齢まで保険料を払い込み、被保険者が亡くなった際に受取人に死亡保険金が支払われる保険です。解約時には、払込保険料の総額に応じた解約返戻金を受け取れます。
定期保険
定期保険は、60歳や70歳、10年や20年など、一定期間までに亡くなった際に受取人に死亡保険金が支払われる保険です。解約時には、保険料の払込期間に応じて解約返戻金を受け取れるものがあります。解約返戻金が支払われないタイプの保険は、保険期間が短いものが多いでしょう。
養老保険
養老保険とは、保険期間中に亡くなった際に受取人に死亡保険金が支払われ、満期まで生存していた場合は受取人に満期保険金が支払われる保険です。10年や20年、60歳や70歳など、保険期間が一定に定められています。
保険期間中の死亡時、満期到来時のいずれの場合にも同じ金額が支払われるため、貯蓄性のある保険商品と言えるでしょう。
がん保険
がん保険は、がんと診断されたときや手術を受けたときに一時金が支払われる保険です。また、抗がん剤治療や放射線治療などを受けるために通院した際に保険金が支払われるものもあります。医療保険でも対応できますが、がんは長期的な通院が必要になるケースが多いため、両方に加入している方もいます。
保険解約による資金調達のメリット
保険解約による資金調達にはメリットとデメリットがあります。まずは、メリットから詳しく見ていきましょう。
現金が手に入る
前述したとおり、保険契約を解約すると解約返戻金を受け取れます。借り入れを増やすことなく資金調達できるため、一見リスクがないように思えますが、後述するようにデメリットもあります。
事業に支障をきたさない
保険契約を解約しても、事業に支障をきたしません。毎月の払込保険料の総額に対して若干少なくなる可能性はありますが、事業に支障をきたすほどではないでしょう。
再加入できる
保険は全く同じ条件での再加入は困難ですが、似たような条件の保険に再加入することができます。資金調達して事業が良い方向へ向かったり状況が落ち着いたりしたら、保険に再加入するとよいでしょう。
保険解約による資金調達のデメリット
保険解約による資金調達にはデメリットもあるため、解約は慎重に検討しましょう。デメリットは次の2つです。
解約返戻金が払込保険料の総額よりも少なくなる場合がある
保険期間が長くなればなるほどに解約返戻金が高くなります。保険期間が短い場合、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る「元本割れ」が起きる可能性があります。元本割れが起きたとしても、急な資金調達に対応できるメリットが損なわれることはありません。
節税効果を得られなくなる
節税を目的に保険に加入していた場合は、解約すると当然ながら節税効果は失われます。少しでも多くの節税を求めているのであれば、保険解約は最後の手段としましょう。ただ、資金調達ができずに事業に支障をきたすことになれば、節税効果を失うことよりも多くの損失を受けます。そのため、いったんは節税効果を得ることを諦めて、資金調達のために保険を解約した方がよいでしょう。
まとめ
法人契約の保険を解約すれば、資金調達できる可能性があります。ただし、解約返戻金がある保険に限るほか、解約のタイミングによっては元本割れします。このような注意点を踏まえて、解約するかどうかを決めましょう。また、資金調達に悩む際は、任意整理で借金を減らすことも1つの方法です。債務整理について気になる方は梅田パートナーズ法律事務所までお気軽にご相談ください。
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