有料老人ホームは赤字だと廃業・閉鎖・倒産しかない?その前に取るべき対応を解説

2024.9.26

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有料老人ホームは高齢化社会において重要な施設ですが、運営が厳しくなり、赤字に陥るケースも少なくありません。しかし、赤字だからといってすぐに廃業・閉鎖や倒産に至るわけではなく、事前に取るべき対応や選択肢があります。この記事では、有料老人ホームが赤字に陥る原因、廃業・閉鎖や倒産を回避するための対応、さらに廃業・倒産の流れについて解説します。

有料老人ホームが赤字になる原因

有料老人ホームが赤字になる原因は下記のとおりです。

新規入居者の確保が難しい

有料老人ホームの収入源の大半は、入居者からの家賃や食費、介護サービス料です。新規入居者が確保できないと、収入が減少し、経営が悪化する原因となります。特に近隣に競合施設が増えると、空室が出た場合に新しい入居者を確保することが難しくなります。

このような状況では、サービスの質の向上や料金体系の見直しが必要です。また、入居者のニーズに応じた追加サービスの提供や、広告戦略を見直すことも有効です。

入居者1人あたりの売上単価が低い

有料老人ホームは入居者に多様なサービスを提供し、その対価として収入を得ていますが、提供するサービスが限られている場合、売上単価が低くなりがちです。これは収益性の低下に繋がり、経営を圧迫します。

対策としては、サービス内容や料金を見直し、入居者がより多くのサービスを利用できるようにすることが求められます。例えば、健康管理やリハビリ、娯楽プログラムなどを充実させることが、売上の増加に繋がるでしょう。

人件費の高騰

介護業界では人手不足が深刻な問題となっており、有料老人ホームも例外ではありません。介護職員や看護職員の確保が難しいため、給与を引き上げたり、待遇を改善する必要があり、これが人件費の高騰を招きます。人件費の増加は経営に大きな負担を与えるため、長期的に人材を確保するための職場環境の整備や、効率的な運営体制の構築が重要です。

有料老人ホームの廃業・閉鎖・倒産以外の選択肢

有料老人ホームの廃業・閉鎖・倒産以外の選択肢について詳しく見ていきましょう。

M&A(事業譲渡)

赤字経営が続き、事業の継続が困難な場合には、M&Aによる事業譲渡も1つの選択肢です。M&Aでは、他の法人に事業を引き継ぐことで、従業員の雇用を維持し、入居者への影響を最小限に抑えることが可能です。事業譲渡を行うことで、負債を整理しつつ、施設の運営を継続できる点が大きなメリットです。

資金調達・助成金の活用

運転資金が不足している場合には、金融機関からの借り入れや、地方自治体からの助成金を活用することが可能です。特に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている施設に対しては、さまざまな支援策が提供されています。これらの制度をうまく活用し、一時的な資金難を乗り越えることで、事業を再建できる可能性があります。

コスト削減と運営効率化

運営コストの見直しも重要です。人件費や設備費、光熱費などのコスト削減を図ることで、経営改善に繋がります。また、ICT(情報通信技術)を活用して、業務の効率化を図ることも効果的です。たとえば、介護記録や業務管理をデジタル化することで、職員の負担を軽減し、効率的な運営が可能になります。

有料老人ホームの廃業・閉鎖・倒産の流れ

有料老人ホームの廃業・閉鎖・倒産の流れは下記のとおりです。

1. 所轄官庁への相談

廃業を決定した場合、まず所轄官庁に相談し、廃業届を提出する必要があります。廃業を決定した時点で速やかに相談し、今後の手続きについての指示を受けます。

2. 従業員への報告・異動の連絡

廃業の決定が確定したら、従業員に対して報告し、今後の異動や退職手続きを進める必要があります。従業員の雇用に配慮しつつ、必要な手続きを円滑に行うことが重要です。

3. 入居者・家族への連絡

入居者やその家族には、廃業のスケジュールや転居先の案内などを丁寧に説明します。入居者が混乱しないように、転居先の選定や手続きについても細かくサポートすることが求められます。

4. 所轄官庁への書類提出

正式に廃業する際には、所轄官庁への必要書類を提出します。例として、東京都では「廃止届出書」「運営懇談会議事録」などの書類が必要です。書類提出は、廃止の日の1ヶ月前までに行う必要があるため、早めの準備が必要です。

5. 入居者の転居調整

入居者の転居をスムーズに進めるためには、他の老人ホームや介護施設との連携が重要です。転居先の選定や、必要な医療・介護サービスの引き継ぎをしっかりと行い、入居者とその家族が安心して転居できるよう支援します。

6. 従業員の退職手続き

従業員が他の施設に異動する場合や、廃業に伴い退職する場合の手続きを行います。退職金の支払いなど、法的な手続きを適切に進めることが求められます。

まとめ

有料老人ホームが赤字に陥った場合、廃業や倒産は避けられないというわけではありません。M&Aや資金調達、コスト削減などの選択肢を検討することで、経営を立て直すことが可能です。しかし、廃業が決定した場合は、所轄官庁や入居者・従業員への対応をしっかりと行い、トラブルを避けるための準備が必要です。

梅田パートナーズ法律事務所では、有料老人ホームの再建や倒産手続きに関する相談をトータルにサポートしています。お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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