破産手続きの際に支払う予納金とは?予納金の種類と用意できない場合の対処法

2021.7.5

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破産手続きは、債務の返済ができなくなった際に行うものですが、手続きには予納金と呼ばれる費用が必要です。そのため、全く手元に現金がない状態では、破産手続きを行えない場合があります。それでは、予納金を支払えない場合は、破産手続きを諦めるしかないのでしょうか。ここでは、破産手続きにおける予納金の種類と、用意できない場合の対処法をご紹介します。

破産手続きにおける予納金とは

破産手続きにおける予納金とは、手続きにかかる費用として裁判所に納める費用のことです。手続きにかかる費用は破産財団が支払うものですが、手続きを開始する前の段階では、破産財団の形成に必要な財産が残っているかどうかがわかりません。

そのため、破産手続きにおける費用は、自己破産を申し立てた人物が納める決まりとなっています。予納金を納めることは破産手続き開始の要件の1つであるため、納めない場合は申し立てが却下されます。

つまり、自己破産したい場合は、何としてでも予納金を納めなければなりません。

予納金の種類

予納金には、官報公告費用や引継予納金、手数料などがあります。破産管財人の報酬などに充てる引継予納金が予納金の大部分を占めます。主な予納金の種類について、詳しく見ていきましょう。

官報公告費用

官報公告費用とは、政府が発行する官報という機関誌に破産者の情報を掲載するのにかかる費用のことです。債権者は申立人が自己申告しますが、申告漏れや認知していない債権者が存在するケースがあります。そのため、官報に公告して、全ての債権者に破産の事実を知らせる必要があるのです。

官報に掲載するのは、事件番号と主文、理由の要旨、免責審尋期日、免責意見陳述期間などです。官報公告費用は10,000~19,000円程度です。

引継予納金とは

引継予納金とは、主に破産管財人の報酬に充当される予納金で、代理人弁護士に預けた後、破産管財人へと引き継がれます。引継予納金は、破産管財人が管財業務や各種手続きなどを行う管財事件の場合にのみ必要です。

引継予納金は原則一括払いですが、例外的に4~5回程度の分割払いが認められる場合があります。

予納金を支払うタイミング

裁判所への破産の申し立てから2週間~1ヶ月程度で裁判所から予納金を支払うよう連絡がきます。予納金の支払期日はありませんが、予納金を支払わなければ破産手続き開始決定がされないため、できるだけ早く支払う方がよいでしょう。

予納金を支払えない場合の対処法

予納金を支払えるだけの財産がない場合は、次のように対処しましょう。

弁護士に相談する

破産手続きにおいて弁護士に代理人を依頼して受任すると、金融機関や債権回収会社に受任通知が送付されます。受任通知の後は、債権者が債務者に直接連絡ができなくなる他、取り立ても禁止されます。

取り立てがストップすれば、予納金を捻出できる可能性が高まります。財産を売却したり売掛金を回収したりしましょう。また、生命保険を解約して、解約返戻金を予納金の支払いに充てるのも1つの方法です。

分割払いを求める

弁護士費用を分割払いにして欲しい旨を伝えてみましょう。弁護士の多くは分割払に応じてくれるので、予納金を捻出しやすくなります。分割払いの回数や金利の有無などは弁護士によって異なります。

法テラスを利用する

個人の場合は、法テラスを利用して弁護士費用の立て替え制度を活用すれば、予納金を捻出できるでしょう。法テラスとは、日本司法支援センターのことで、法律に関する手続きの費用を立て替えてくれます。ただし、収入や財産の条件をクリアしなければ立て替え制度は利用できません。また、弁護士を自ら選ぶことができない点にも注意が必要です。

同時廃止なら予納金を大きく抑えられる

破産手続きには、同時廃止と管財事件があります。同時廃止とは、破産手続きの開始と同時に手続きが完了する方式です。同時廃止が適用されるのは、破産申し立ての段階で財産が20万円を下回っているケースです。

財産が20万円を超えている場合は、どの程度の財産があるのか調査する必要があるため、管財事件として20万円以上の予納金が発生します。一方、同時廃止であれば1万円前後に抑えられるため、予納金の支払いに困らなくなるでしょう。

免責不許可事項に該当しておらず、申立書にミスがないことも同時廃止を行う条件となります。

まとめ

破産手続きにおける予納金は、破産手続きの開始に必要な費用です。予納金を納められるだけの財産を持っていない場合は、弁護士に相談しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、破産手続きを検討している方の不明点や疑問点にお答えしております。予納金を支払えない方のご相談にも対応しておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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