割引手形とは?裏書手形との違いや不渡手形になるまでの流れ
割引手形は、約束手形の発行人と受取人それぞれが知っておくべき有価証券です。約束手形を受け取ったものの、期日よりも前に現金を受け取りたい場合には割引手形を発行しましょう。ここでは、割引手形の仕組みや手数料の計算方法、不渡手形になるまでの流れについて詳しくご紹介します。
最初に知っておきたい約束手形について
約束手形とは、一定の期日までに商品の代金を支払うことを約束する有価証券のことです。代金を支払う側が代金を受け取る側に「この期日まで代金を必ず支払います」という意味合いで約束手形を発行します。約束手形を受け取った人は、金融機関で現金に換金します。
約束手形を発行するには、金融機関で当座預金を開設する必要があります。当座預金とは、約束手形の入金や引き落としを金融機関に代行してもらうために使用する口座のことです。金融機関との間で信頼関係が構築されていなければ開設できません。
割引手形とは
割引手形とは、約束手形を支払期日よりも前に現金化することを目的に、金融機関に買い取ってもらう手形のことです。また、約束手形の代金を支払う際に第三者に譲渡する手形を「裏書手形」といいます。割引手形と裏書手形のいずれも、約束手形が手元になければ使えません。
また、期日よりも前に銀行で換金してもらう際に手数料がかかるため、割引手形は約束手形に記載されている満額を受け取ることができません。その代わり、すぐに現金を手に入れることができます。このように、約束手形に記載されている金額から割り引かれるため、割引手形と呼ばれています。
割引手形を使用する理由
手元に十分な資金がある場合は、約束手形を割引手形にする必要はありません。「すぐに現金が必要だが持ち合わせていない、しかし約束手形は受け取っている」という場合に割引手形を使用します。
割引 手形の手数料の計算方法
割引手形は実質のところ融資にあたるので、利息制限法や出資法などの規制を受けます。割引手形の手数料は金融機関によって異なりますが、銀行では2~3.5%、信用金庫では2.5~4.5%が平均です。手形割引の手数料は、振出人との信頼関係や期日までの残り期間などで変動します。
割引手形の手数料は、次のように計算します。
手形券面金額×年利換算した手形割引率×支払日までの日数÷365(日)
手形券面金額は、約束手形に記載されている金額のことです。手形割引率は金融機関ごとに定められている金利相当額のことです。それでは、上記の計算式に当てはめて、手形割引した場合の金額を計算してみましょう。
・手形券面金額=100万円
・年利2%
・支払期日までの日数90日
・取立手数料1,200円
(1)100万円×0.02×90日÷365日=4,932円(手形割引手数料)
(2)4,932円+1,200円=6,132円(手形券面金額から差し引かれる金額)
(3)手形券面金額-手形券面金額から差し引かれる金額=99万3,868円(受け取る金額)
割引手形が不渡りになるまでの流れ
約束手形は、支払期日までに代金を支払うことを約束するものであるため、手元に現金がなくても商品を売買できます。例えば、翌月末までに売掛金を回収できるため、翌々月を約束手形の支払期限とする方法があります。しかし、売掛金を回収できなかったために支払代金を調達できなかった場合は、銀行が当座預金から引き落としができず、不渡手形になるのです。これは、割引手形、裏書手形も同様です。
不渡手形になる問題点
不渡り手形になっても、手形の発行人に対して支払いを請求できます。しかし、手形の支払い請求権は支払期日から3年(支払期日の日を含む)で消滅することに注意が必要です。支払い請求で手形代金を回収した場合は、受取利息を合わせて記帳します。一方、一部しか回収できなかった不渡手形は、貸倒れ処理が必要です。貸倒れ処理にて貸倒引当金で充当できなかった額に関しては、貸倒損失で計上します。
割引手形の事業者を選ぶときの注意点
割引手形は、銀行や信用金庫以外の業者にも換金を依頼できます。ただし、銀行や金融機関と比べて10%以上と高金利なため、特別な事情がない限りは利用しない方がよいでしょう。また、中には信頼性に乏しい業者も存在するため、最初から一般業者は利用しない方が無難です。割引手数料を事前に示さない、担当者の受け答えが曖昧、ネットの評判が悪いといった業者は特に注意が必要です。
まとめ
割引手形は、支払期日よりも前に現金を手に入れたい場合に使用する手形です。約束手形や裏書手形と同じく、支払期日までに当座預金口座に手形券面金額が入っていない場合、引き落としが不可能ということで不渡手形となります。割引手形の発行人と受取人それぞれが割引手形の仕組みや手数料などを知っておくことが大切です。
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