法人が赤字だと納付が免除される税金は?条件や種類を解説

2024.11.15

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法人の赤字決算では、特定の税金が納付免除される場合があります。しかし、すべての税金が免除されるわけではなく、所得に基づくものとそうでないものに分けて理解することが重要です。本記事では、赤字で納付が不要となる税金やその条件、さらに赤字でも免除されない税金について詳しく解説します。

法人が赤字だと納付が免除される税金

法人が赤字だと納付が免除される税金について詳しく見ていきましょう。

法人税と地方法人税

法人税は、法人の所得に対して課される国税です。赤字の場合、益金(収益)から損金(費用)を引いた所得がマイナスとなるため、法人税の計算基準がゼロとなり、納付が不要になります。

地方法人税は、法人税額に基づいて計算される税金(法人税額×10.3%)であり、法人税がゼロの場合には地方法人税も同様に納付の必要がありません。

法人事業税と特別法人事業税

法人事業税は、法人の所得を基に計算される地方税で、資本金が1億円以下の法人の場合、赤字であれば納付が不要です。

特別法人事業税も法人事業税の一部を分離したもので、法人事業税額に連動して計算されるため、法人事業税がゼロの場合、特別法人事業税も発生しません。

法人住民税の法人税割

法人住民税のうち「法人税割」は、法人税額を基準に課税されるため、法人税がゼロの場合は納付が不要です。ただし、均等割には別途課税される場合があります。

法人が赤字でも免除されない税金

法人が赤字でも免除されない税金について詳しく見ていきましょう。

法人住民税の均等割

法人住民税のうち「均等割」は、法人の資本金や従業員数に基づいて課税されます。赤字でも納付が必要であり、資本金が大きいほど課税額が増加します。この税金は、事業規模の大小にかかわらず基本的に課されるため、注意が必要です。

消費税

消費税は、消費者から預かった税金を事業者が納付する仕組みであり、赤字であっても申告・納付義務が発生します。一般課税方式では仕入税額控除が適用されるため、設備投資などで支払った消費税が多い場合は還付を受けられることもあります。一方、簡易課税方式では赤字でも課税が発生します。

源泉所得税

源泉所得税は従業員の給与や報酬から天引きし、企業が納税する仕組みです。これは従業員個人にかかる税金であり、法人の所得に関係なく、赤字でも期限内に納付する必要があります。

印紙税

契約書や領収書などの課税文書に課される印紙税も、法人の利益状況にかかわらず納付が必要です。課税額は文書の種類や記載金額によって異なりますが、赤字だからといって免除されることはありません。

固定資産税と自動車税

固定資産税は、法人が所有する土地や建物、事業用の設備などに課される地方税であり、赤字でも課税対象となります。 自動車税も同様に、所有する車両に課される税金で、利益の有無にかかわらず納付義務があります。

赤字法人の税金の注意点

法人税や法人事業税は、益金から損金を差し引いた所得に基づいて計算されるため、赤字の場合には納税が不要になるのが一般的です。

しかし、ここで注意すべき点は、税法上の所得が会計上の利益と一致しないことがあるという点です。税法上の所得は、益金から損金を引いて算出され、会計上の利益は収益から費用を差し引いて計算されます。

この両者は似ているものの、計算に用いる項目や範囲が異なるため、結果が異なる場合があります。たとえば、会計上は費用として認められる交際費が、税法上では一定の限度額までしか損金に計上できないケースが挙げられます。

このような違いを把握していないと、税務申告時にずれが生じ、修正申告や追徴課税の対象となる可能性があります。特に、会計上赤字であっても税務上所得が発生していれば、法人税などの納税義務が生じるため、注意が必要です。

この違いを正しく理解し、税務申告を適切に行うことが、企業経営において重要です。

法人が赤字のデメリット

赤字決算には税負担を抑えられるメリットがある一方で、資金調達や信用面でのデメリットも多く存在します。赤字が続くと金融機関からの信用を失い、融資が難しくなる可能性があります。特に長期的な赤字や債務超過状態では、資金繰りが悪化し経営継続が困難になることもあります。

また、赤字が常態化すると税務署から脱税を疑われ、税務調査の対象となるリスクが高まります。

不適切な会計処理が発覚した場合、追徴課税や重いペナルティを課される可能性もあるため注意が必要です。さらに、債務超過に陥ると倒産リスクが増加し、事業継続が一層難しくなることがあります。一時的な赤字なら対策可能な場合もありますが、長期化すれば経営に深刻な影響を与えるため、早急な対応が求められます。

まとめ

法人が赤字の場合でも、納付が免除される税金とそうでない税金を正確に把握しておくことが重要です。特に、消費税や法人住民税の均等割など、赤字でも納付が必要な税金は資金繰りへの影響が大きいため、事前に準備しておくことが欠かせません。

また、赤字決算が続くと資金調達や信用に悪影響を及ぼす場合もあるため、収支バランスの改善と税務対策を並行して進めることが求められます。梅田パートナーズ法律事務所では、法人税務に関するサポートを幅広く提供していますので、ぜひご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。

・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

事務所

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〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
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