農家の廃業・破産手続きとは?残った農地の活用・転用の方法も解説

2024.8.3

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農家の廃業や破産手続きが増加している背景には、さまざまな要因が絡み合っています。農業を営むこと自体が厳しい状況にあり、事業を継続する難しさや、農地を有効に活用できない問題が浮き彫りになっています。本記事では、農家の廃業や破産の理由、手続きの流れ、残った農地の活用方法について詳しく解説します。

農家の廃業・破産が多い理由

まずは、農家の廃業・破産が多い理由から詳しく見ていきましょう。

事業承継が難しい

農家の事業承継は、多くの農家にとって大きな課題です。農業は専門知識や技術が必要であり、それを継承するには長い時間と経験が必要です。しかし、若い世代にとって農業を継ぐことは、収入の不安定さや家族のサポートが不可欠な点から、容易に決断できるものではありません。そのため、多くの農家は事業承継が進まないまま経営を続けることが難しくなり、最終的に廃業を選択することになります。

農家を継いでも活用ができない

農地や農業資産を相続した場合でも、それを十分に活用できないことが多くあります。相続した世代が農業の経験を持たず、農業に従事する意欲がない場合、農地は放置されます。

さらに、農業に必要な機械や設備の維持管理にはコストがかるため、大きな負担となります。このような状況下では農地を持つこと自体が負担となり、結果的に廃業を選ぶことになるでしょう。

継いでも体力や体調の問題で廃業する場合が多い

農業は肉体的な労働が多く、体力や健康状態が大きく影響します。高齢の農家が多い現状では、体力の衰えや体調不良が原因で、農業を続けることが難しくなり、廃業を余儀なくされるケースも少なくありません。農業は天候や季節に左右されることや、体調が万全でなければ農作業をこなすことが難しいことも廃業の理由の1つです。

農家の廃業手続き方法

農家の廃業手続きは、次の2つで成り立ちます。

「廃業届」の提出

農家が廃業を決意した場合、まず行うべきは「廃業届」の提出です。廃業届は、個人事業主が事業を廃止する際に提出する書類で、提出先は税務署となります。正式に農業をやめたことを税務署に知らせることができます。廃業届を提出しないままでいると、税務署は農業を続けていると見なす可能性があり、不要な税務調査のリスクを抱えることになりかねません。

農業機械や農地の処分

廃業後、農業機械や農地の処分が必要です。農業機械については、中古市場で売却したり、他の農家に譲渡したりする方法があります。農地に関しては、転用や売却を考える必要がありますが、農地法の規定により自由に処分することはできません。農地を売却する場合は、農業委員会の許可が必要であり、農地の転用もまた複雑な手続きが必要となります。

農家の破産手続きの流れ

農家の破産手続きは一般的な個人の破産と同様の手順を踏みますが、農地や農機具、家畜などの特有の資産が絡むため、注意が必要です。

1. 破産申立ての準備

まず、債務整理の専門家(弁護士)に相談し、破産手続きを進めるかどうかを決定します。相談の段階で、農家の場合は所有する農地や農機具の評価額やそれらの処分方法についても検討します。

2. 破産申立書の作成と提出

破産を決意したら、弁護士の指導のもと、破産申立書を作成します。申立書には債権者一覧や資産の詳細、収支の状況を記載します。農家の場合、「トラクター」や「耕運機」などの農機具が資産として記載されます。

3. 裁判所による破産手続きの開始決定

申立書が受理されると、裁判所が破産手続きを開始します。農家の資産がどのように処分されるかが詳細に決定されます。

4. 破産管財人の選任と資産の処分

多くの場合は裁判所によって破産管財人が選任され、資産の整理が進められます。農家の場合、農機具や家畜、農地などが売却され、売却益が債権者に分配されます。

5. 免責決定

全ての資産処分が終了し、債権者への分配が完了すると、裁判所は破産者に対する免責決定を行います。農家は残りの債務から解放されます。

継いだ農地の活用・転用の方法

農家が廃業した後も、農地は残ります。農地をそのままにしておくと、固定資産税が発生するため、できるだけ早く有効活用を考えることが重要です。以下に、農地の活用・転用の方法を紹介します。

宅地として売却または自身でアパートを建てる

農地を宅地として転用し、売却することが1つの方法です。特に、近隣に工場や学校などがある場合、アパートやマンションの建設用地として利用しやすいため、買い手が短期間で見つかる可能性があります。

自身でアパートやマンションを建てて運営する場合、安定した賃料収入が見込めるため、資産としての価値が高まります。

太陽光発電に利用する

農地を活用する方法として、太陽光発電に転用することも考えられます。太陽光パネルを設置し、発電した電力を売電することで、安定した収入を得ることができます。農地は広い面積を持ち、日当たりが良い場所に位置していることが多いため、太陽光発電に適しています。

まとめ

農家の廃業や破産は、事業承継の難しさや体力的な問題など、多くの要因が絡んでいます。廃業や破産の手続きには複雑な手順があり、専門家の助けを借りることが賢明です。また、廃業後に残る農地を有効に活用するためには、宅地としての転用や太陽光発電への利用など、さまざまな選択肢を検討することが必要です。

梅田パートナーズ法律事務所では、廃業・破産、活用・転用についてアドバイスや手続きの代行・サポートを行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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