倒産する旨を従業員に伝えるタイミングは?伝え方のポイントも解説

2024.5.13

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倒産する旨を従業員に伝える方法やタイミングなどは、経営者にとって難しい問題です。従業員の今後のことを考えて、適切なタイミングで、誠実かつ明確に伝えることが重要です。本記事では、倒産を従業員に伝える最適なタイミングと、伝え方のポイントについて詳しく解説します。

倒産する旨を従業員に伝えるタイミング

倒産を従業員に伝えるタイミングは非常に重要です。適切なタイミングで誠実に伝えることで、混乱を最小限に抑えることができます。倒産を伝える適切なタイミングについて詳しく解説します。

倒産の直前に伝える

一般の従業員には、倒産の直前に伝えるのが適切です。これにより、情報が外部に漏れるリスクを最小限に抑えることができ、会社の信用を守ることができます。従業員としては転職先を探すのに必要な期間が短くなるため、もっと早く知らせてほしいと思うこともあるでしょう。

しかし、早すぎる告知は退職や事実無根の噂が出回るなどのリスクを伴います。結果的に予定よりも早く倒産することになり、従業員にさらなる迷惑がかかることになりかねません。そのため、倒産の直前に伝えることは、不誠実な対応とは言えないでしょう。

重要な立場の従業員には早めに伝える

会社の運営や倒産手続きを円滑に進めるためには、重要な立場の従業員には早めに倒産の旨を伝えることが必要です。特に経理担当者や部門マネージャーなど、会社の内部情報や運営に深く関与する従業員には、事前に状況を共有することで、倒産手続きをスムーズに進める準備が整います。

例えば、大手企業が倒産の可能性を検討している際、経営陣はまず経理部門の責任者と法務担当者に早めに状況を説明する必要があるでしょう。

経理部門の責任者は、財務状況の整理と資金繰りの最終調整を迅速に行い、法務担当者は法的手続きの準備を進めることができます。

倒産する旨を従業員に伝えることのリスク

倒産する旨を従業員に伝えることには、次のようなリスクがあります。

事実無根の噂が出回る

倒産の情報を従業員に伝える際には、慎重な対応が求められます。倒産の情報が不適切なタイミングで従業員に伝わると、不安や誤解が広まり、会社の信用をさらに損なう可能性があります。

ある中小企業が倒産の準備を進めている段階で、経営陣が一部の従業員にこの情報を早めに伝えました。この情報が従業員の間で誤解を生んだ結果、「会社はすぐに閉鎖する」「給料が支払われない」という事実無根の噂が広まりました。この噂はさらに外部に漏れ、取引先や顧客の間にも広がり、最終的には会社の信用が大きく損なわれ、倒産手続きがより困難になりました。

このような事態を防ぐためにも、適切なタイミングで伝える必要があります。

従業員が大量に退職して事業が続けられなくなる

倒産する旨を伝えると、従業員としては早く転職活動を始める必要が生じるため、従業員が大量に退職してしまうリスクがあります。このような状況が発生すると、事業の継続が困難になり、倒産が早まることになりかねません。

ある製造業の企業が倒産の準備を進めている際に、経営陣が全従業員に対して倒産の可能性を早めに伝えました。この情報を受け、従業員たちは将来への不安から一斉に退職を希望しました。特に技術者や管理職など、事業運営に欠かせない人材が大量に退職したため、製造ラインが停止し、取引先への納品も滞ってしまいました。この結果、倒産手続きが計画通り進まず、会社の信用もさらに失墜しました。

予告しない場合は解雇予告手当が必要

従業員を解雇する際には、予告なしで行うと解雇予告手当の支払いが必要です。労働基準法では、解雇する場合は少なくとも30日前に予告を行うことが義務付けられています。もし30日前に予告をしない場合、企業は解雇予告手当として、30日分の平均賃金を支払わなければなりません。

倒産する旨を従業員に伝えるときのポイント

倒産を従業員に伝える際には、適切な方法とタイミングで行うことが重要です。以下に、倒産を伝える際のポイントと具体例を解説します。

誠実なコミュニケーション

従業員に倒産の旨を伝える際は、誠実なコミュニケーションを心がけることが重要です。事実を隠さず、状況を正直に説明することで、従業員の信頼を保ち、混乱を最小限に抑えることができます。

従業員へのサポート体制を整える

倒産の発表と同時に、従業員が次のステップを踏むためのサポート体制を整えることが重要です。再就職支援やカウンセリングサービスなど、具体的なサポートを提供することで、従業員の不安を和らげることができます。

明確な手続きとスケジュールを示す

倒産手続きのスケジュールや具体的な手続きを明確に示すことも重要です。これにより、従業員が今後の展開を理解しやすくなり、安心感を持つことができます。

まとめ

倒産を従業員に伝えることは、適切なタイミングと方法で行う必要があります。一般の従業員には直前に伝え、情報漏洩のリスクを最小限に抑える一方、重要な立場の従業員には早めに伝え、円滑な倒産手続きを支援することが求められます。梅田パートナーズ法律事務所は、倒産手続きに関して全面的にサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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