遺言執行者とは?役割や選任が必要なケース・報酬について解説
遺言執行者は、遺言状が存在する場合に専任が必要になる可能性がある人物です。遺言執行者の役割を理解しておくことで、認識の相違や誤った知識によるトラブルを防止できるでしょう。本記事では、遺言執行者の役割や選任が必要なケース、報酬などについて詳しく解説します。
遺言執行者とは
遺言執行者は、亡くなった遺言者が残した遺言内容を実現するために、必要な手続きや事務を遂行する役割を担う人です。遺言者によって、特定の個人を遺言執行者として指定できます。これにより、遺言者の死後、指定された遺言執行者が遺言の内容を着実に実行できるようになります。
遺言書に遺言執行者が指定されていない場合でも、相続人たちは家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることが可能です。この選任によって、遺言執行者が遺産分割や財産処分などの事務を行えるようになります。
遺言執行者の役割
遺言執行者は、遺言者の遺志を実現するための存在であり、その役割を果たすための権利と義務が与えられています。指定された場合でも、遺言執行者となることを拒否することは可能です。責任は大きく、適切な相続財産の管理や遺言の執行が求められます。
遺言執行者には遺言の実現に必要な全ての行為を行う権利があり、また義務として、任務開始時に相続人に遺言内容を通知し、相続財産の目録を作成して交付するなどの行動をとることが求められます。
遺言執行者を選任することになるケース
特定遺贈や遺言認知、相続廃除について遺言書に規定がある場合、遺言執行者の選任が必要です。それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
特定遺贈
特定遺贈は、法定相続人以外の特定の人に財産を贈与する手段です。例えば、法定相続人以外の者に特定の不動産や資産を贈与したい場合、特定遺贈が選択されます。
民法改正によって、特定遺贈は遺言執行者でなければ実行できないこととなりました。これにより、特定遺贈の履行に関する権限は遺言執行者に絞られることとなり、特定遺贈を希望する場合は遺言書にて遺言執行者の指定が必要です。
子の認知(遺言認知)
子の認知は、婚姻関係のない男女の間に生まれた子(非嫡出子)を、父親が法的に自分の子と認める手続きです。子は「父親の実子(嫡出子)」として法的に認められ、相続人として遺産を受け継ぐ資格を得ます。遺言による認知の場合、具体的な手続きや申請が必要となり、これらの手続きを行うのが遺言執行者の役割です。
遺言執行者は遺言書において指定され、子の認知手続きを効果的かつ適切に進め、法的権利の保護に寄与します。子の認知は、非嫡出子にとって法的な権利を確立し、父親の相続人としての地位を法的に保証する重要な手段となります。
相続廃除(遺言廃除)
相続廃除は、遺言者が虐待、侮辱、著しい非行などを推定相続人に対して行った場合に、その推定相続人に対して法的に相続権を奪う手続きを指します。遺言者の意思に基づいて遺産を渡さないことで、不当な行為への制裁として行われます。
この手続きは、相続人としての権利を剥奪するものであり、家庭裁判所を通じて行われます。相続廃除を遺言で指示する場合、その手続きを進めるのが遺言執行者の役割です。生前に相続廃除を行った場合でも、その効果を取り消す手続きが必要な際にも、再び遺言執行者の選任が必要です。相続廃除は、法的に相続権を否定する厳格な手続きであり、家庭裁判所の判断に基づいて行われるため、遺言執行者の的確な選任が重要です。
遺言執行者に支払う報酬
遺言執行者は無償で行うのではなく、相続人から報酬を受け取ることができます。報酬の相場について詳しく見ていきましょう。
相続人や親族
遺言執行者の報酬は、一般的に遺言書で規定されます。相続人や親族が遺言執行者を指名した場合、報酬はその遺言書に基づいて決まります。遺言執行者は相続手続きを円滑に進める責任があり、その手間や労力に対する報酬として考えられます。
典型的な報酬相場は、20~30万円です。ただし、この金額はあくまで目安であり、実際には0円とすることも可能です。
遺言書で遺言執行者を指定する場合、事前に本人に報酬について相談し、合意が得られたらそれを遺言書に明記しておくことが望ましいです。これにより、将来的なトラブルを防ぐことができます。
専門家
遺言執行者を専門家に依頼する場合、報酬相場を理解しておくことが大切です。しかし、明確な相場は存在しません。現在の傾向として、相続財産の金額に応じて報酬が設定されることが一般的です。
専門家の事務所では、報酬率が通常「遺産総額の1~3%」程度とされています。これは相続財産の総額に対してその割合で報酬が計算される仕組みです。
相続財産が大きな金額になるほど報酬も増えるため、専門家に依頼する場合は具体的な報酬率や料金体系を確認し、契約前に明確な合意を得ることが重要です。
まとめ
遺言執行者は、遺言者が残した遺言内容を実現するために必要な手続きを行う役割を果たします。指定がない場合でも相続人が選任でき、報酬は遺言書で定めるか相談の上で決められます。
梅田パートナーズ法律事務所では、遺言執行者として業務を遂行するだけではなく、遺産相続全体のサポートも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
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2012 | 司法研修所 |
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2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
事務所概要
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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