公正証書遺言でもトラブルになるケースとは?対応方法も解説

2023.11.5

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

公正証書遺言は、遺言書を公証人の前で作成し、その公証人が内容を確認・証明したものです。具体的には、公証人が立ち会い、遺言者の意思を確認した上で、遺言書の作成過程や内容を記録し、最終的に証明印を押します。遺産相続のトラブルになるリスクが低いとされているものの、トラブルになるケースもあります。

本記事では、公正証書遺言でもトラブルになるケースと対応方法について詳しく解説します。

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公正証書遺言でトラブルになるケース

公正証書遺言は、次のような場合に無効となります。

  • 遺言者の能力不足: 15歳未満や意思能力のない状態で作成された遺言は無効です。
  • 形式的要件の不適合: 民法969条に規定された形式的要件を満たしていない場合、公正証書遺言は無効となります。たとえば、適切な証人が不足していたり、遺言者からの趣旨の口授がなかったり、署名捺印がなかったりすると無効とされます。
  • 無効・取消原因の存在: 民法上の無効・取消原因がある場合、公正証書遺言は無効とされます。これには錯誤や詐欺、脅迫、公序良俗違反などが含まれます。例えば、遺言者が認知症だったり、勘違いによって遺言を作成した場合、または公証人の手続きに誤りがあった場合がこれに該当します。

これらのトラブルを避けるためには、公正証書遺言を作成する際に十分な注意が必要です。

さらに詳しく見ていきましょう。

認知機能に問題がある

遺言書を有効に作成するためには、遺言者が遺言の内容を理解し判断できる「遺言能力」が必要です。裁判例において、最も多い無効の理由は、遺言者本人が認知症で遺言能力がない場合です。

認知症の場合でも、必ずしも「遺言能力なし」とされるわけではなく、状況によります。認知症の程度や遺言書の内容、作成時の状況を考慮して、遺言者の遺言能力があったかどうかが判断されます。

勘違いや誤解によって遺言書を作成した

遺言者が勘違いや誤解により遺言書を作成した場合、それが公正証書遺言であっても無効とされることがあります。

遺言者が錯誤によって作成した遺言は、その内容が実際の法的な事情と合致していない場合に無効となります。裁判では、遺言者が正確な情報を知っていれば遺言をしなかった可能性があるとの立場から、公正証書遺言が錯誤に基づいている場合には無効判決が下されることがあります。

遺言書の内容を口に出して作成しなかった

公正証書遺言の作成においては、原則として遺言者が公証人に対して直接口に出して遺言の内容を伝えることが求められています。口授がない場合、公正証書遺言は無効とされます。これは、口授がないと遺言者の真意を確認する手段がないと考えられているためです。

遺言の内容が公序良俗に反する場合

遺言書の内容が公序良俗に反する場合、その遺言は無効とされる可能性があります。公序良俗に反するとは、法律や社会通念に反する内容や、道義的に問題のある内容を指します。法律が定めた規範や一般の良識に合致しない場合、裁判所はその遺言を認めず、無効と判断することがあります。

公正証書遺言でトラブルになったときの対応方法

公正証書遺言に関する問題が生じた場合、まず訴訟は時間と費用がかかるため、交渉から始めるのが一般的です。法的な形式の不備がある場合、交渉で問題解決が期待できますが、遺言が財産分配に大きな影響を与える場合は交渉が難しいこともあります。

交渉が難しい場合は、遺言無効確認請求や訴訟を考えます。交渉があった場合は調停よりも直接訴訟が提起されることが一般的です。遺言が無効と判決が確定すれば、遺言は無効とみなされ、相続人は遺産分割協議を行います。逆に遺言が有効なら、その内容に基づいて財産が承継されます。トラブル解決には早期の法的アドバイスや交渉が重要です。

公正証書遺言に関するトラブルは弁護士のサポートが必須

公正証書遺言に関するトラブルが生じた場合、弁護士のサポートが極めて重要です。公正証書遺言は法的な手続きが厳格であり、その遺言が無効とされれば相続の混乱が生じます。弁護士は法的知識や経験を活かして遺言書の妥当性を判断し、トラブルを円滑に解決するサポートをします。

交渉や調停から訴訟までの手続きのサポートを行えるため、精神的な負担が大幅に軽減するでしょう。

まとめ

公正証書遺言でもトラブルになるケースはあるため、油断はできません。今回、解説したトラブルになる原因について理解し、有効な遺言書を作成することが大切です。また、もし公正証書遺言が無効になり得ることが判明した際は、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。梅田パートナーズ法律事務所では、公正証書遺言のトラブル相談や手続きのサポート、代理人としての対応などを行っております。まずはお気軽にご相談ください。

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西村 雄大Takahiro Nishimura

弁護士法人梅田パートナーズ法律事務所は、確かな実績を積む30代の若い弁護士2名と事務スタッフ数名が在籍しております。
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相続に欠かせない税理士や司法書士、弁理士との提携で、それぞれの専門家とチーム体制で取り組みます。

特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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