相続回復請求権とは?権利の内容や対象者から遺留分侵害額請求権との違いまで解説
相続回復請求権は、遺産相続において正当な権利を侵害された相続人が、その権利を取り戻すための法的手段です。本記事では、相続回復請求権の概要から、具体的な権利内容や行使できる対象者などについて詳しく解説します。
相続回復請求権とは
相続回復請求権は、不法に相続権を侵害された場合に、正当な相続人がその回復を請求する権利を指します。具体的には、以下のようなケースに行使します。
- 無効な遺言による相続権の侵害……法的に無効な遺言によって、正当な相続人の権利が侵害された場合、相続回復請求権を行使して遺産分割のやり直しを求めることができます。
- 偽造された文書による相続権の侵害……偽造された相続関連の文書によって、相続権が侵害された場合にもこの権利を行使できます。
- 第三者による不当な取得……相続財産を第三者が不当に取得した場合、正当な相続人はその返還を求めることができます。
相続回復請求権を行使できる人
相続回復請求権を行使できるのは、以下のような正当な相続権を有する人です。
- 真正相続人……法的に認められた相続人
- 包括受遺者……包括遺贈を受けた人は相続人と同等の地位を有する人
- 相続分の譲受人……正当な相続分を譲り受けた人
- 法定代理人:未成年や成年後見人など、相続人の代理となる人
相続回復請求権を行使される人
相続回復請求権を行使されるのは、次のような人です。
- 表見相続人……相続権を有しないにもかかわらず、相続人として財産を占有している人
- 共同相続人による持分侵害……共同相続人が他の相続人の持分を不当に占有している場合
- 相続権の侵害を知ったときから5年以内
- 相続が発生してから20年以内
相続回復請求権と遺留分侵害額請求権の違い
相続回復請求権と遺留分侵害額請求権は、どちらも相続に関する重要な権利ですが、その目的と対象が異なります。
相続回復請求権は、真正相続人が無権利者(表見相続人)に対して、自分が正当な相続人であることを主張し、相続財産の返還を求める権利です。相続権そのものが不当に侵害された場合に行使されます。たとえば、無効な遺言や偽造された文書によって相続財産が不当に占有されている場合、真正相続人は相続回復請求権を行使して、相続財産の返還を求めることができます。
一方、遺留分侵害額請求権は、遺留分が侵害された法定相続人が、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求する権利です。遺留分とは、法定相続人が最低限保障されるべき相続分のことであり、被相続人が遺言や生前贈与を通じて自由に財産を分配した場合でも、遺留分が侵害されたケースが該当します。
遺留分を侵害された法定相続人が他の相続人や受贈者に対して金銭的補償を求めるものであり、遺贈や贈与自体が無効になるわけではありません
相続回復請求権の時効
相続回復請求権には消滅時効が設定されており、以下の期間内に行使しなければなりません。
相続回復請求権を行使する方法
相続回復請求権を行使する方法は、下記の2つです。
直接請求する
相手方と直接交渉を行い、相続財産の返還を求める方法です。最初に、相手方に対して相続権が侵害されていることを伝え、返還を要求します。話し合いにより、合意に達することができれば、合意書を作成し、必要に応じて公正証書として残します。
話し合いが難航する場合や、相手方が返還を拒否する場合には、内容証明郵便を利用して請求書を送付しましょう。内容証明郵便は、請求の意思を公式に示すための手段であり、時効の完成を防ぐ効果があります。また、正式な文書として請求の証拠を残すことができます。
訴訟する
直接請求がうまくいかない場合や、相手方が返還を拒否する場合には、訴訟を提起することが必要です。訴訟を提起する前には、まず証拠の収集が重要です。相続関係を証明する書類や、相続権が侵害されたことを示す証拠を揃えます。
訴訟は、地方裁判所に対して相続回復請求訴訟を提起します。訴訟を提起することにより、時効の完成が猶予され、裁判所で相続権が侵害されていることが認められれば、相続財産の返還が命じられます。
手続きには専門家の協力を得ることが重要です。
まとめ
相続回復請求権は、正当な相続人が不当な相続侵害を受けた際に、権利を取り戻すための重要な法的手段です。無効な遺言や偽造文書などにより相続権が侵害された場合、この請求権を行使して、適切な相続分の回復を求めることができます。梅田パートナーズ法律事務所では、相続回復請求権の行使についてサポートできますので、まずはお気軽にご相談ください。
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2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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