兄弟(姉妹)が遺産を無許可・勝手に相続していたらどうすればいい?
兄弟(姉妹)が遺産を無許可・勝手に相続していた場合は、話し合いだけで解決しないケースが多いでしょう。泣き寝入りする必要はなく、無許可で何をどのように相続していたのかがわかれば、遺産を取り戻せる可能性があります。
今回は、兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続していたときの対処法について詳しく解説します。
- 兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続していた場合のポイントを紹介
- 遺産分割協議無効確認訴訟を起こして対処する
- 遺産を使い込まれたときの対応を解説
- 遺産をめぐる問題やトラブルには専門知識を持つ弁護士に相談する
兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続していたときの確認ポイント
兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続していた場合は、まず次のポイントを確認しましょう。
遺産の種類と評価額
遺産の内容とその評価額を確認することが重要です。
不動産、預金、有価証券、債権など、相続された資産の種類を把握しましょう。続いて、相続手続きが法的かつ正当なものであるかを確認します。法定の手続きや条件が満たされていない場合、相続は無効となる可能性があります。
例えば、遺言書があるのに異なる形で相続した、遺産分割協議を全員で行い、全員の同意を得なかったといった場合は、不当な相続と言えるでしょう。
遺言書で指定されているかどうか
親が生前に作成した遺言書に「長男にすべての財産を相続させる」という内容であれば、長男が全財産を相続できるでしょう。
ただし、法律において定められた最低限確保される相続分である遺留分までは相続できません。遺留分は被相続人の兄弟姉妹を除いた相続人が持つ権利です。
遺産分割協議で全員の承諾を得ていたか
遺産分割協議は、相続人全員の参加が必要であり、全員が合意しなければ無効とされます。この協議では法定相続分に限らず、遺産の分割方法も決めます。
兄弟姉妹を含む法定相続人全員が参加し、特定の相続人が遺産を相続することに全員が同意した場合、その相続人が遺産を占有することが可能です。
ただし、1人でも合意しない場合、遺産分割は成立しません。
兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続したときの対処法
兄弟(姉妹)が遺産を無許可で相続した場合は、次のように対処しましょう。
遺産分割協議無効確認訴訟を起こす
遺言書が存在しない場合、通常は相続人同士が話し合って遺産の分割を決定します。ただし、遺産分割協議は相続人全員が参加しなければ法的には無効です。
遺産分割協議書には、相続人全員が合意したことを示すために署名と実印による押印を行います。しかし、実印の保管場所が知られている場合、不正に署名や印鑑が行われ、遺産分割協議書が作成されることもあります。
金融機関は形式的に印影や添付書類を確認するだけで相続手続きを進めることがあり、このような状況で遺産分割が進行してしまう可能性があります。なお、勝手に遺産分割協議書を作成し、銀行に提出して預金の払い戻しを受ける行為は、私文書偽造や詐欺に該当する可能性があることにも留意が必要です。
相続手続きが進んでいる場合、無効な遺産分割協議を確認するためには、遺産分割協議無効確認訴訟を裁判所に提起する必要があります。
遺産を使い込まれたときの対応
親が亡くなる前に長女が親の財産を不正に使い込んでいた場合、正しい形式で相続をさせるには不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求が必要です。これは地方裁判所で訴訟を提起する手続きとなります。
被相続人の死亡後でも、凍結されていない預貯金の払い戻しや不動産の名義変更(相続登記)を行う場合も同様に、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求が適用されます。
不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は発覚から3年、不当利得返還請求権の時効は相続開始から5年以内または発覚から10年です。
ただし、被相続人の生前に同意を得て財産を使用していた場合、特別受益の要素が加味されます。特別受益相当を考慮した遺産分割を求めるか、不当利得返還請求や損害賠償請求が行われます。
弁護士に相談する
遺産をめぐる問題やトラブルに直面した場合、専門知識を持つ弁護士に相談することが重要です。弁護士は法的な助言や手続きのサポートを提供し、依頼主の権利や利益を守る役割を果たします。
相続や遺言に関する法律事案は複雑であり、自身で解決することが難しい場合があります。弁護士は遺産分割や不当利得返還請求などの法的手続きを適切に進めることが可能です。
まとめ
兄弟(姉妹)が遺産を勝手に相続した場合は、不法行為にあたる可能性があります。状況の確認や証拠集めを行うとともに、弁護士に相談することが大切です。
梅田パートナーズ法律事務所では、他の法定相続人が勝手に財産を相続するトラブルにも対応しています。
相続に関することであれば、遺言書の作成や各種手続きの代行など、あらゆるサポートが可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。
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2010 | 京都大学 卒業 |
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2012 | 神戸大学法科大学院 卒業 |
2012 | 司法研修所 |
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2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
事務所概要
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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