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相続人が認知症の場合の相続手続きはどうなる?対応方法と注意点を解説

2023.9.14

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

認知症の相続人がいる場合、そのまま相続をしてもよいのか、遺産分割協議では除外すればよいのかなど、さまざまな疑問が思い浮かぶのではないでしょうか。誤った対応方法では後からトラブルになる恐れがあります。そこで今回は、相続人が認知症の場合の相続手続きについて、対応方法や注意点を詳しく解説します。

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認知症の相続人は遺産分割協議ができない

遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを決めます。これは、法定相続人全員で行わなければならず、1人でも合意に至らなければ成立しません。

認知症は、判断能力が低下しているため、他の法定相続人に言いくるめられたり、利己的な主張で財産を相続しようとしたりする場合があります。そのため、認知症の相続人は遺産分割協議ができません。

このとき、判断能力がないのであれば相続放棄をさせればよいと考えることもあるでしょう。しかし、認知症の人は判断能力が必要な一切の法律行為を行えないため、相続放棄も認められないのです。当然ながら、周りの家族が本人の代わりに相続放棄を申し立てた場合も認められません。

認知症の相続人がいる場合は法定相続分で相続する

遺言書があれば、その内容に従って相続できるのですが、遺言書がない場合は法定相続分に従って相続することになります。

この場合、相続する不動産が共有名義になり、後からトラブルになる恐れがあります。共有名義の不動産を売却する際、全ての共有者の合意が必要です。しかし、認知症の相続人の場合、合意を得ることが難しいという問題が発生します。

その結果、不動産を売りたくても売れない事態に陥ります。そして、当事者である相続人が亡くなった後は、その法定相続人に相続され、さらに問題が複雑化するのです。最終的に相続人が10人近くに増えて、処分したくてもできない、リフォームしたくてもできないことで、廃墟のようになる可能性もあります。

認知症の相続人がいる場合は成年後見人制度を活用する

認知症の相続人がいる場合は成年後見制度を利用することで、本人の代わりに成年後見人が遺産分割協議に参加できるようになります。ここで気になるのが、どのようにして本人の意思を遺産分割協議に反映させるかでしょう。

成年後見人を介して行う遺産分割協議においては、認知症の相続人の法定相続分に相当する財産を確保する必要があります。成年後見人は、本人の利益を最優先し、法定相続分を保全することが義務づけられています。

もし、不動産を他の相続人が相続する場合は、代償金を受け取ることで法定相続分を確保します。

特別代理人が必要になる場合がある

特別代理人は、認知症の相続人と成年後見人の利益が相反する場合に選任が必要です。例えば、本人以外の相続人である兄弟が成年後見人になると、利益が相反します。そのため、特別代理人として中立性と信頼性がある人物を選任しなければなりません。

特別代理人は、遺産分割協議との利害関係がない人物を選任します。叔父やいとこなどでも可能ですが、弁護士をはじめとする第三者も候補にできます。

なお、成年後見人を選任する際に、成年後見人の監督役となる後見監督人を選任している場合は、特別代理人の選任は不要です。

認知症の相続人は相続後にもトラブルになりやすい

認知症を患っている相続人が成年後見制度を利用せずに法定相続で遺産を受け継ぐ場合、その後の財産管理に関して問題が生じる可能性があります。

金融機関では、口座の名義人が認知症で判断能力に問題があると判断した場合、口座を保護するために口座を凍結することがあります。その結果、生活費を引き出せなくなることで生活に支障をきたすことになりかねません。

金融機関によっては、戸籍謄本などの書類を提出し、預金名義人との関係性や預金の使途を確認できれば、一定額の預金を引き出すことが認められる場合もあります。ただし、各金融機関の判断に依存するため、確実なものではありません。

成年後見人であれば、認知症の相続人の財産を管理できます。認知症の相続人がいる場合は、成年後見人制度の利用は必須といえるでしょう。

まとめ

相続人が認知症になることを想定し、家族信託をしておく方法もあります。しかし、家族信託には複雑な手続が必要なうえに、全員の同意を得られるとも限りません。そのときの状況に応じて適切な対応策をとることが大切です。梅田パートナーズ法律事務所では、相続人が認知症の場合の成年後見人制度や特別代理人などについて、全面的にサポートしております。スムーズな遺産相続とトラブルの防止を希望する方は、お気軽にご相談ください。

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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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