遺産を独り占めされた場合の対処法は?独占する問題点も解説

2024.6.6

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

遺産を独り占めされたとき、違法行為と思い込む方は多いのではないでしょうか。
実は、違法なケースとそうではないケースがあります。

本記事では、遺産を独占された場合の対処法や独占することによる問題点などについて詳しく解説します。

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遺産の独占に問題があるケース


相続人が他の相続人に対して不正な手段で圧力をかけたり、詐欺行為を行ったりして遺産を独占する場合、それは違法行為です。ただし、財産を独占して使い込んだとしても、親族間においては処罰が免除されます。つまり、財産を使い込まれても泣き寝入りになってしまうことがあるのです。

遺産の独占に問題がないケース


次のような場合、遺産を独占しても問題ありません。

遺言書に基づく相続

遺言書が存在し、被相続人が特定の相続人に全財産を遺贈する旨が記載されている場合、その相続人が遺産を独占しても問題ありません。ただし、法定相続人は法定相続分が侵害されたことになるため、遺留分の侵害請求が可能です。
遺留分の請求によって、法定相続分のいくらかを取り戻せる可能性があります。

相続順位に基づく相続

法定相続人の相続順位に基づいて遺産分割協議を行った結果、特定の相続人が全財産を相続することになった場合、それは全く問題ありません。
例えば、配偶者がいて、両親や子、兄弟姉妹もいない場合は、配偶者だけが法定相続人です。

配偶者が全額を相続する問題点


配偶者が全額を相続する場合に生じる問題点は、二次相続の影響で税金の負担が大きくなることです。

二次相続とは、最初に相続した配偶者が亡くなった際に、その配偶者の遺産を再び別の相続人が相続することです。この場合、最初に相続した配偶者が一次相続人となり、その後の相続人が二次相続人となります。

一次相続で配偶者が遺産を全額相続した場合、配偶者控除を利用できます。そのため、相続税の負担を大きく抑えることが可能です。しかし、二次相続の際は配偶者ではない相続人が遺産を受け継ぐため、配偶者控除を利用できません。

また、配偶者の遺産と配偶者が受け継いだ遺産の合計を相続することになるため、相続税が発生するケースが多いのです。

遺産を不法に独占された場合の対処法


遺産を不法に独り占めされた場合には、次のように対処しましょう。

遺留分侵害額請求

遺産を不法に独占された場合の対処法として、「遺留分侵害額請求」が考えられます。

遺留分とは、相続人に対して法律によって保障されている最低限の遺産の取得割合のことです。遺留分を侵害された相続人が「遺留分侵害額請求」を行使できます。

遺言無効確認訴訟

遺言無効確認訴訟は、遺言書に問題があると疑われる場合に、その遺言書の有効性を裁判所に審査してもらうための手続きです。遺言書に形式上の不備や作成時の判断能力に疑義がある場合、遺言書の無効を主張して遺言の内容や有効性について争うことができます。

預貯金口座の凍結

遺産の独占や使い込みを防ぐための手段として、預貯金口座の凍結があります。これは、相続人の死亡が発生した場合に、その人の名義で保有していた預貯金口座を一時的に凍結する手続きです。

金融機関は、口座名義人の死亡通知を受けると、その口座を一時的に凍結します。これによって、その口座の預金を新たに出金することができなくなります。これは、遺産の独占を防ぐための対策ではありますが、すでに独占を始められてからでも遅くはありません。これ以上の使い込みを防ぐために、早急に預金口座を凍結させましょう。

不動産を独占された場合の対処法

実家のような不動産が独占された場合は、遺産分割協議を行うことが先決です。独占している人物がその不動産を取得するにしても、必要に応じて代償金を支払うことになります。代償金は、不動産の取得によって、遺産分割協議で定められた相続割合以上を取得した場合、その差額を現金で他の相続人に支払うものです。

代償金を支払わない、独占を続けるといった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。

調停委員が間に入り、双方の言い分を踏まえて和解できるようにサポートしてくれます。それでも合意に至らない場合は、自動的に裁判に移行します。裁判で不動産の売却や代償金の支払いが決定された場合、独占している人物はそれに従わなければなりません。

裁判所の決定に従わない場合、不動産が競売にかけられる可能性があります。競売によって不動産が売却され、その売却代金が法定相続分に従って分配されることになります。

まとめ

遺産を独占されたと感じた際は、それが問題のある行為かどうか確認が必要です。場合によっては、遺留分侵害額請求や遺言無効確認訴訟などを行いましょう。また、相続に関するトラブルは1人で解決しようとせず、弁護士に相談することが大切です。

梅田パートナーズ法律事務所では、相続トラブルへの対応・アドバイスはもちろん、各種手続きや必要書類の準備などトータル的にサポートしております。
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弁護士紹介

代表弁護士
西村 雄大Takahiro Nishimura

弁護士法人梅田パートナーズ法律事務所は、確かな実績を積む30代の若い弁護士2名と事務スタッフ数名が在籍しております。
相続・事業承継のご相談は長いおつきあいとなりますため、長く見届けることのできる私たちの「若さ」も強みとなっています。

個人・企業にかかわらず、遺言、遺産分割、登記、財産調査、相続税対策、事業承継などあらゆる相続問題について最善策をご提案します。
相続に欠かせない税理士や司法書士、弁理士との提携で、それぞれの専門家とチーム体制で取り組みます。

特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
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・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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