長男による相続財産の独り占めによって起きるトラブルと対応策
長男が相続財産を独り占めした場合、他の相続人は金銭的な被害を受けるだけではなく心労も大きくなるでしょう。
このような事態に陥った際は、遺留分の主張や被相続人の銀行口座の凍結など、さまざまな対応が必要になります。
今回は、長男による相続財産の独り占めによって起きるトラブルと対応策について詳しく解説します。
- 長男が相続財産を独り占めするパターンを紹介
- 相続財産を独り占めすると遺産分割協議が終わらず親族関係が悪くなる
- 長男が相続財産を独り占めしたときの対応策を解説
- 長男が相続財産を独り占めしたときは話し合うことが大切
長男が相続財産を独り占めするパターン
長男による相続財産の独り占めが起きるのは、次のようなケースです。
遺言書で指定されていた
遺言書は、亡くなった遺族の財産に関する意思を記した文書であり、法的な効力を持ちます。遺言書がなければ遺産分割協議を行いますが、遺言書がある場合はその内容に従って財産を分割しなければなりません。
その遺言書で長男に全財産を相続させる旨が指定されている場合、長男による独り占めが起こります。このとき、長男が他の相続人にも財産を相続してほしいと思った場合は、双方合意のもとで財産を分割できます。
しかし、長男が「遺言書で指定されているのだから私が全て相続すべきだ」「長男なのだから全財産を相続して当然だ」などと主張する可能性も否定できません。
遺産分割協議を強引な方法で進めた
遺産分割協議は、相続人同士が相続財産の分割について協議を行うことです。長男が全財産を相続するのが当然などといって他の相続人の利益を無視する場合、長男による相続財産の独り占めが起きる恐れがあります。
長男が相続財産を独り占めすることで起きるトラブル
長男が相続財産を独り占めすると、次のようなトラブルが起きる恐れがあります。
遺産分割協議が終わらない
長男が相続財産を独り占めを主張した場合、遺産分割協議が難航します。他の相続人が公平な遺産分割を求めている場合、長男の主張に対して不満を感じたり納得できなかったりするでしょう。そうなれば遺産分割協議が長期化し、なかなか全員の合意を得られなくなります。
親族関係が悪くなる
相続において公平な遺産分割が行われなかった場合、不信感や不満によって親族間の関係が悪化する可能性があります。兄弟姉妹や親族との関係が希薄になるとともにコミュニケーションが減少するでしょう。
将来、お互いに助け合うべき事態が生じたときに助け合えなくなることも予想されます。
長男が相続財産を独り占めしたときの対応策
長男が相続財産を独り占めしようとしたり、勝手に被相続人の財産を使い込んでいたりするときは、次のように対応しましょう。
被相続人の銀行口座を凍結して引き出せなくする
被相続人が亡くなった際には、その預貯金口座を凍結することで権利者以外からの引き出しを防ぐことが重要です。しかし、銀行は被相続人の死亡を自動的に把握するわけではないため、遺族や相続人が被相続人の死亡を銀行に連絡する必要があります。
長男が通帳やキャッシュカードなどを持っている場合は、なるべく速く銀行に連絡しましょう。その際は、被相続人の死亡を証明するために戸籍謄本や住民票の除票などが求められる可能性があります。
財産の使い込みを調べる
被相続人の銀行口座を確認し、死亡日以降に引き出された形跡がないかを調べましょう。銀行に問い合わせて取引履歴を開示してもらうこともできますが、その場合は過去10年分に限られるため、なるべく早く申請しましょう。
さらに、被相続人の自宅にある可能性がある現金や貴金属などの高級品も確認が必要です。
話し合っても解決しない場合は弁護士に相談する
長男の使い込みが発覚した場合、長男が独り占めの主張をやめない場合、まずは話し合うことが大切です。しかし、相続に関する問題は感情的になりやすく、解決が難しいこともあります。そうした場合、専門家である弁護士に相談することで、適切なアドバイスのもとで解決に向けて事が運びやすくなるでしょう。
梅田パートナーズ法律事務所では、相続トラブル全般のサポートやアドバイスをしておりますので、お気軽にご相談ください。
弁護士は相続に関する知識と経験を持ち、法律的な観点から問題を分析して最善の解決方法を提案してくれます。また、相手との対話を仲介し、円満な解決を図るための交渉も行います。
遺言書で指定されていた場合は遺留分を主張する
長男に全財産を相続させる旨が遺言書で指定されていた場合は、遺留分を主張しましょう。遺留分とは、相続人が最低限の財産を相続できる権利であり、遺留分を下回る財産しか得られなかった相続人は、侵害された遺留分の額に相当する金銭を長男に対して請求できます。
まとめ
長男が相続財産を独り占めしたときは、まずは話し合うことが大切です。話し合いによる解決が期待できない場合は弁護士に相談しましょう。場合によっては、調停や裁判なども代理人として関わることができるため、相続トラブルが解決しやすくなります。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。
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2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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