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養子縁組によって相続順位が変わるケース・変わらないケースと想定されるトラブル

2023.7.1

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

養子縁組をした場合、相続順位が変わるケースと変わらないケースがあります。相続人の取り分や相続できるかどうかなどに関連するため、事前に把握しておくことが大切です。また、どのようなトラブルになるのかも確認して起きましょう。今回は、養子縁組によって相続順位が変わるケースと変わらないケースについて解説するとともに、想定されるトラブルについても紹介します。

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そもそも相続の順位とは

相続の順位とは、民法で定められた相続人「法定相続人」における相続の優先順位のことです。第一順位は被相続人の子、もし子がいない場合は孫(直系卑属)です。

第二順位は被相続人の父母、父母がいない場合は祖父母(直系尊属)です。

第三順位は被相続人の兄弟姉妹です。なお、配偶者は常に相続人であるため、上記のいずれのケースにおいても配偶者は財産を相続できます。

養子縁組によって相続順位が変わるケース

養子は被相続人の実子と同じく第一順位の相続人になります。被相続人の子や孫がいない場合、養子が第一順位の相続人となるため、第二順位の相続人である父は相続人になれません。

つまり、本来ならば相続できたのに、養子がいたから相続できなくなったという事態になるのです。また、被相続人の配偶者と養子が相続人の場合、それぞれ相続財産は1/2ずつとなるため、養子がいないケースと比べて相続の取り分が減少します。

養子縁組によって相続順位が変わらないケース

被相続人に配偶者がおらず、父と子2人がいるケースにおいては、第一順位は子の2人です。このとき、養子がいたとしても子2人の順位が変わることはありません。養子と子2人が第一順位となり、それぞれが財産を相続します。

養子がいることによって起こりえる相続トラブル

養子がいる場合、どのような相続トラブルが予想されるのか詳しく見ていきましょう。

相続順位が変わることで他の人が相続できなくなる

養子は法定相続人において第一順位となるため、第二順位の法定相続人が相続する予定だったところに養子の存在が発覚すると、相続順位が変わることで相続できなくなります。そうなれば、本来相続権を持つはずの人が相続権を失う結果となり、親族間でトラブルになる可能性があります。

相続人が増えることで取り分が減る

相続において養子がいる場合、相続人の数が増えることによって各相続人の取り分が減る可能性があります。

配偶者と子1人が相続するケースでは、それぞれ1/2ずつ相続します。そこに養子が加わると配偶者と子2人が相続することになり、配偶者1/2、子それぞれ1/4となります。

養子ではない子にとっては、本来ならば遺産の1/2を相続できたところ、養子がいるために1/4しか相続できなくなるのです。

このように相続人の数が増えることで取り分が減る場合、特に遺産が多額である場合や相続人同士の間に対立がある場合は、相続トラブルの原因となることがあります。

養子縁組を簡単に解消することはできない

養子との親子関係を解消するためには、養親子である当事者同士が協議し、役所に「養子離縁届」を提出する必要があります。つまり、養子が拒否した場合は養子縁組の解消はほぼ不可能です。

当事者間での話し合いが難航する場合、家庭裁判所に「離縁調停」を申立てることができます。調停委員が間に入り、双方にとって良い結果になるよう話し合いが進むようにサポートしてくれます。調停が不成立となった場合は離縁を求める訴訟を提起し、裁判で解決を目指すことになります。

ただし、離縁が認められるのは、以下の場合に限るため、かなり特殊なケースと言えるでしょう。

  • 養親または養子が相手方から悪意をもって遺棄された
  • 養親または養子が3年以上生死不明となった
  • その他、養子縁組関係を継続しがたい重大な事実がある

養子縁組を解消したい場合は、弁護士のサポートやアドバイスのもとで手続きを進めましょう。

養子縁組による相続トラブルの回避方法

遺言を作成しておくことで、相続人の取り分や財産の配分を明確にできます。ただし、法定相続分を下回ると遺留分請求によって、結局はある程度の範囲で平等に遺産を分けることになります。そのため、特定の子に多額の財産を相続させるような内容は避けた方がよいでしょう。

まずは、養子の存在を明かしたうえで話し合い、相互理解を求めることが大切です。

まとめ

養子縁組によって相続順位が変わったり取り分が減ったりすることで、トラブルになることがあります。養子は血のつながりがないからといって親族から横暴な態度で接されることも懸念されます。トラブルを防ぐためにも、遺言書の作成や事前の話し合いなど対策を講じることが大切です。

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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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