死後認知とは?手続きの方法や遺産相続との関係について解説
死後認知は、法律婚をしていない男女の間に生まれた子供と、亡くなっている父親との間で法律上の親子関係を確定する手続きです。この場合、亡くなった父親の遺産は相続できるのか、どのような権利を得られるのかなど気になる方も多いでしょう。
今回は、死後認知の法律上の効力や手続きの方法、遺産相続との関係などについて詳しく解説します。
死後認知とは
死後認知とは、法律婚をしていない夫婦の子供(非嫡出子)とすでに亡くなっている父親との親子関係を確定し、法律上のさまざまな制度を利用できるようにすることです。
認知をしていない場合、法律上の親子関係がないことから法定相続人になることはできません。死後認知をすれば、父親の遺産を相続する権利を得られます。
死後認知の方法
通常、親子関係を確定させるための認知は、生存しているのであれば所定の届け出によって行うことができます。しかし、すでに死亡している場合は、非嫡出子が訴訟を起こすしかありません。死後認知の訴訟において勝訴すれば、亡くなっている父親との間に法律上の親子関係が確定します。
死後認知訴訟を起こせる人物には、非嫡出子とその法定代理人のほか、非嫡出子の子供や孫、なども含まれます。また、非嫡出子が未成年の場合は、親権者が代わりに訴訟を起こすこともできます。
相手方は、本来父親であるべきですが、すでに亡くなっているため検察官を相手方とします。
なお、訴訟を起こすことができるのは父親が亡くなってから3年以内のため、亡くなったことを知った後はすぐに手続きを始めましょう。
死後認知訴訟の流れ
まずは、非嫡出子の住所地か父親が亡くなった時点における住所地を管轄する家庭裁判所に、死後認知訴訟における訴状を提出します。このとき、非嫡出子が死後認知を受けるにあたって利害関係がある父親の配偶者や嫡出子などに、死後認知訴訟が起こされた旨が通知されます。
審理で勝訴を得るためには、まず亡くなった父親との親子関係を証明しなければなりません。最も優れた証拠はDNA鑑定結果とされていますが、これは父親が生きているときに協力を得なければ行うことは難しいでしょう。
そのため、父親と母親が出会ってから妊娠、出産、育児などの経緯を手紙や写真、証言といった間接的な証拠で立証する必要があります。
複数回の審理を経て、死後認知訴訟の判決が出ます。勝訴となった場合は、判決書と確定証明書を役所窓口に提出し、死後認知手続きを行いましょう。
死後認知訴訟にかかる費用
死後認知訴訟にかかる費用は、収入印紙代1,200円と鑑定費用約10万円、弁護士費用が数十万円~数百万円、郵送料数千円程度です。弁護士費用が多くを占めているうえに、費用の幅が非常に広くなっています。これは、弁護士が自由に費用を決められるうえに、死後認知訴訟の勝訴によって得られる利益に基づいて費用を定めていることが多いためです。
死後認知を受けた後の遺産相続
死後認知を受けた後は、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等となります。
これは、嫡出子の相続分が減ることを意味するため、トラブルになるケースが少なくありません。なお、すでに遺産相続が終了している場合は遺産分割をやり直すことは請求できません。その代わり、法定相続分の相当額の支払いを他の相続人に請求できます。
遺産分割協議の途中の場合は、非嫡出子も参加して他の相続人と同等の権限の元で話し合いを進めます。遺産分割協議は、相続人全員の同意がなければ成立しません。非嫡出子だからといって、同意を得ずに遺産分割協議を成立させることは不可能です。
すでに相続税を支払っていた場合はどうなる?
遺産分割協議が成立済みで、すでに相続税の支払いが完了している場合でも、非嫡出子は法定相続分の相当額の支払いを他の相続人に請求できます。なお、非嫡出子が法定相続人になると、相続税額を算出する際に関係する基礎控除額や生命保険金の非課税枠が変動します。
相続税の基礎控除額……3,000万円+600万円×相続人の数
生命保険金の非課税枠……500万円×相続人の数
このように、どちらも非課税枠が大きくなることで、相続税の払いすぎが発生します。この場合、死後認知の確定を知った日の翌日から4ヶ月以内に所定の手続きを行えば、その差額の払い戻しが可能です。
まとめ
死後認知は、亡くなった父親との親子関係を証明するための証拠集めが必要です。また、死後認知された後は法定相続分を相続人に請求したり遺産分割協議に参加したりする必要があります。このような場合、嫡出子をはじめとする親族との間でトラブルになりやすいため、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
梅田パートナーズ法律事務所では、死後認知訴訟の法定代理人から死後認知後の遺産相続関連のサポートまで対応しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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2012 | 司法研修所 |
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2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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