債務超過とはどんな状態のことを指す?
特別清算型倒産手続きを行う場合には、手続きを申請する会社が債務超過の状態に陥っていることが一つの条件とされています。
法人の倒産においては、赤字、資金ショートなどという言葉もあり、債務超過との違いが分からないという経営者の方からのお話もよくうかがいます。
そこで当ホームページでは債務超過に関して詳しい解説をしていきたいと思います。
◆債務超過とは?赤字、資金ショートとの違いも
債務超過とは、会社の資産よりも抱えている負債の方が大幅に上回っているような状態を指します。このような状態では会社経営において好ましくない影響が出るため、早期に債務超過の状態を解消する必要があります。
一口に債務超過と言っても、債務超過には、簿価債務超過と実質債務超過の2パターンがあります。
簿価債務超過とは、貸借対照表上で負債が資産を上回っている状態をさし、実質債務超過とは、評価替え(時価に修正)や営業権(技術やノウハウなど)の計上後であっても債務超過の状態が解消されない場合を指します。
赤字や資金ショートとの違いについても確認してみましょう。
赤字とは、年間支出が年間売上を超えている状態です。赤字状態とはどのような企業にも単年単位では存在するものであり、翌年以降の売り上げを伸ばせていれば、特に問題はありません。
しかしながら赤字状態が継続しているといずれは債務超過に陥ってしまう可能性があるため、注意しなければなりません。
資金ショートとは、手元の資金が枯渇して期日までの支払いができなくなっている状態です。支払いの内容としては、人件費やオフィスの入っているビルのテナント代や融資の返済など多岐にわたります。この資金ショートは、改善せずに放置していると倒産に追い込まれるものであり、債務超過や赤字とは違って非常に緊急性の高い財務状態となっています。
◆債務超過だからといって直ちに倒産ではない
上記の資金ショートの解説において、資金ショートは債務超過や赤字と違って緊急性が高いという説明をいたしました。
赤字は、翌年以降の売り上げを回復に持っていくことで解消することができるというのはご理解いただけると思いますが、債務超過に関しては、債務超過の状態に陥った段階で倒産を検討しなければならないと考えている経営者の方がいらっしゃいます。
しかしそのようなご理解は誤りです。
なぜなら次のようなケースであっても債務超過と評価されるからです。
・売上は黒字となっているが、新ビジネスの立ち上げのために、投資が必要となり負債額が上がっている
・開業したてで、初期費用等の捻出により「支払い>売上」となっている
・負債が多くても純資産に余裕があるため支払いは問題ない
といったようなケースです。
しかし、事実としては負債額が上回っていることに変わりはないため、長期的な目線で見ると経営難に陥る可能性もあります。
◆債務超過には大きなデメリットがある
債務超過は資金ショートと比較すると緊急性が低いと説明しましたが、決して安心できるものではありません。
資金面で既に難のある状態であること以外にも大きなデメリットが存在します。
その1つとして金融機関や取引先からの信用が失われるという点です。
先ほど債務超過として判断される例をいくつか挙げましたが、これは内部事情を理解していれば問題ないと判断できるだけであり、取引先や金融機関としては、数値を見た上でのみの判断しかできません。そのため、経営状態が悪いと判断され、取引が打ち切られたり、銀行の融資が受けられないという事態が発生する可能性もなくはありません。
また、上場している企業の場合には、債務超過となって1年以内に債務超過の状態を解消できなかった場合には、上場廃止となる可能性が出てきます。
梅田パートナーズ法律事務所では、大阪府を拠点とし、法人の倒産や破産問題を業務として取り扱っております。
債務超過の状態に陥った場合には、なるべく早く専門家の弁護士に相談をすることで、のちに取り返しのつかない状態となることを避けることをお勧めいたします。
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