負担付贈与とは?贈与との違いやメリット・デメリット・解除の方法について解説
贈与を検討する際は、負担付贈与についても確認しておきましょう。通常の贈与とは内容が大きく異なるうえに、税金の計算方法にも違いがあります。また、全ての人に適した方法とは言えないため、メリット・デメリットについても確認が必要です。今回は、負担付贈与の内容や通常の贈与との違い、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
負担付贈与とは
負担付贈与とは、財産を無償で渡す代わりに、何らかの負担を負ってもらう方法です。例えば、次のようなケースがあります。
- 住宅ローンで購入したマンションを贈与する代わりにローン残債を支払ってもらう
- 現金を毎月贈与する代わりに介護や病院への送迎などをしてもらう
- 無償で家を贈与する代わりに一部の部屋をそのまま使わせてもらう
このように、自身と相手の両方に負担がかかるため、平等な制度と言えるでしょう。内容が平等ではない場合、負担付贈与を申し出ても承諾を得ることは難しいと考えられます。
負担付贈与と通常の贈与の違い
負担付贈与と通常の贈与には次の違いがあります。
贈与後の義務
通常の贈与では、贈与の完了時点で契約が履行されたことになりますが、負担付贈与ではその後も負担を負う義務が残ります。受贈者が負担を負う義務を果たすとともに、贈与者はそれを見届ける必要があります。
不動産を贈与するときの評価方法
通常の贈与では、不動産評価額を算出する際に「相続税評価額(時価の約8割)」を用います。負担付贈与契約では「時価(市場価格)」を用いるため、負担付贈与の方が通常の贈与よりも税額が上がる傾向があります。
【関連コラム:不動産の生前贈与で相続税を節税できる!メリットと手順を解説】
負担付贈与の税金の扱い
負担付贈与では、対象となる財産の全額から負担分を控除した金額に対して贈与税がかかります。税金の計算方法や押さえておきたいポイントについて詳しくみていきましょう。
計算方法
自宅を贈与する代わりにローン残債の支払を求めるケースを例に、贈与税を計算してみましょう。
- 自宅(土地・建物):4,000万円(時価)
- ローン残債:1,000万円
贈与された側は、贈与化学に応じて贈与税を納める必要があり、不動産においては時価で金額を計算することになります。今回のケースでは、贈与税を次のように計算します。
{(贈与額-債務)-贈与税の基礎控除額 } × 贈与税率 - 税率ごとの控除額
贈与税には「特例税率」と「一般税率」があり、18歳以上の子どもへの贈与には「特例税率」を用います。上記の計算式に当てはめて贈与税を計算してみましょう。
贈与税= {(4,000万円-1,000万円)-110万円 } × 45% - 265万円 =1,035万5,000円
なお、不動産を取得すると不動産取得税が、自身の名義に変更した際は登録免許税がかかります。
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贈与者にも税金がかかる場合がある
負担付贈与では、贈与した財産よりも負債の方が多い場合に、贈与者にも税金がかかります。例えば、3000万円のマンションを住宅ローンで購入し、利息を含めて4,000万円になったとします。これを贈与する代わりにローン残債を子どもが変わりに返済する場合は、親は1,000万円の譲渡所得を得た扱いになり、譲渡所得税や住民税などが課税されます。
負担付贈与のメリット
負担付き贈与のメリットは、マンションや自宅などの不動産や現金を贈与する代わりに、送迎や介護、ローン残債の返済などの対価を得られることです。子どもとしても、単に介護や病院への送迎をお願いされるよりも、贈与があった方が受け入れやすいと言えます。
また、約束していた負担を履行しなかった場合は、相当の期間を定めたうえで履行を催告し、それでも履行しなかった場合は贈与契約の解除が可能です。そのため、贈与側のリスクは比較的小さく、トラブルになりにくいと言えるでしょう。
負担付贈与のデメリット
負担付贈与のデメリットは、約束どおりに負担を履行しないリスクがあることです。一定の条件のもとで契約を解除できるとしても、贈与した不動産や金銭などを取り戻すには相応の時間と労力がかかります。また、負担を履行してくれなければ親子の関係も悪くなる可能性もあるでしょう。
そのほか、贈与したものに欠陥や不備があると、トラブルになる恐れもあります。贈与者に欠陥や不備をカバーする責任はありませんが、それらを知っていたにもかかわらず受贈者に知らせなかった場合は、損害賠償請求を受ける可能性も否定できません。
負担付贈与契約の解除方法
負担付贈与契約の締結後、相手が負担義務を履行しない場合は、債務不履行を理由として契約を解除できます。ただし、一部でも負担が履行されていた場合は、お互いの合意がなければ原則的に解除はできません。
解除となった場合、すでに贈与したお金や土地、建物などの返還を請求できますが、全額の返還に成功するとは限らないでしょう。また、相手が返還について納得しない場合は紛争に発展する可能性もあります。
まとめ
負担付贈与は、贈与する代わりに何らかの負担を負ってもらう形態の贈与です。負担を履行しない場合は契約解除が可能ですが、一部でも履行されていた場合はお互いの合意が必要になります。また、負担付贈与で発生する税金には複雑な部分があるため、契約内容の決め方も含めて弁護士に相談することをおすすめします。
梅田パートナーズ法律事務所では、負担付贈与だけではなく通常の贈与や相続などまで踏まえた最適と考えられる税金対策をご提案しております。まずは、お気軽にご相談ください。
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