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未登記建物を相続する際は遺産分割協議書に何を書く?書き方や注意点を解説

2024.8.23

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

相続手続きにおいて、特に問題となることが多いのが「未登記建物」です。未登記建物を相続する際には、遺産分割協議書の作成に細心の注意を払う必要があります。本記事では、未登記建物とは何か、未登記建物を登記する際の手順や遺産分割協議書の書き方について詳しく解説します。

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未登記建物とは

未登記建物とは、その名の通り、登記されていない建物を指します。不動産登記法によれば、不動産はその物理的情報を記載する「表題部」と、権利に関する事項を記載する「権利部」に分かれています。未登記建物とは、このうち「表題部」が未登録の建物を指します。つまり、物理的な情報や所有者の情報が公的に記録されていない状態です。

未登記建物は、法律的には他の財産と同様に相続の対象となりますが、未登記であるがゆえに相続手続きにおいて多くの問題を引き起こすことがあります。相続の際にこのような建物を見逃してしまうと、後々トラブルの原因となる可能性が高いです。

令和6年4月の法改正で相続登記が義務化された

これまで相続登記は任意とされていましたが、令和6年4月1日からは相続登記が義務化されます。この法改正は、所有者が特定できない空き地や空き家の増加という社会問題を背景に行われました。相続登記を怠ると、登記簿上の所有者と実際の所有者が一致せず、不動産取引や公共事業の妨げになるため、登記の義務化が必要とされたのです。

この法改正により、相続人は不動産を相続した日から3年以内に相続登記を行うことが義務付けられます。これに違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があるため、相続手続きには早急に対応する必要があります。

新築の表題部登記は以前から登記が義務だった

新たに建物を建てた場合、その所有者は1か月以内に表題登記を行うことが法律で義務付けられています。この手続きを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があり、また、建物を売却したり、融資の担保としたりする際に大きな不都合が生じます。

表題登記を行うことで、建物の所有者としての権利が公的に認められ、後々の相続や売買においてもスムーズな手続きを行うことができます。

未登記建物を登記しない問題点

未登記建物は、売却する際に買い手が所有者を確認できないため、取引が成立しにくくなります。また、売却後に買い手が所有権を主張するためには表題登記が必要となるため、登記手続きが二重に発生することもあります。

また、未登記建物は、抵当権の設定ができないため、金融機関から融資を受けることが困難です。担保価値が認められないため、資金調達の際に大きなハードルとなります。

未登記建物を登記する手順

未登記建物を相続する際には、まずその建物を登記する必要があります。以下に、その手順を詳しく説明します。

1.未登記建物の有無を確認する

相続財産を整理する際には、未登記建物が含まれていないかを確認することが重要です。未登記建物は登記簿に記載されていないため、法務局で調査することはできません。代わりに、納税通知書や名寄帳を確認することで、未登記建物の存在を把握できます。

納税通知書には、課税対象の不動産が記載されていますが、これには未登記建物も含まれます。名寄帳は市区町村役場で発行され、その地域内にある所有不動産の一覧が記載されているため、未登記建物の確認に有効です。

2.遺産分割協議で相続する人物を決める

未登記建物が相続財産に含まれていることが確認されたら、相続人全員で遺産分割協議を行い、その建物を誰が相続するかを決定します。未登記建物は物理的な分割が難しいため、通常は現物分割、代償分割、換価分割、共有分割のいずれかの方法で分配されます。

共有分割は、相続人全員が共有名義で所有する方法ですが、後々の利用や売却が困難になることが多いため、慎重に検討する必要があります。一般的には、特定の相続人が建物を取得し、他の相続人に対して代償金を支払う代償分割が選ばれることが多いです。

遺産分割協議書に未登記建物について書く方法

遺産分割協議書を作成する際には、未登記建物についても明確に記載する必要があります。登記されている建物であれば、登記簿から所在、家屋番号、種類、構造、床面積などを転記すればよいですが、未登記建物にはこれらの情報がないため、固定資産評価証明書や名寄帳に記載されている情報を利用します。

具体的には、未登記建物の所在や構造、面積などを特定し、その建物が未登記であることを明記することが重要です。たとえば、以下のように記載することが考えられます。

所在地:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
種類:木造平屋建
構造:木造瓦葺き
床面積:50.00平方メートル
(未登記)

まとめ

未登記建物の相続は、他の相続財産に比べて複雑であり、適切な対応が求められます。令和6年4月の法改正により相続登記が義務化されたため、相続人は未登記建物についても速やかに登記を行い、遺産分割協議書に正確な情報を記載する必要があります。未登記建物がある場合、早めに専門家に相談し、適切な手続きを進めることで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

未登記建物の相続が絡むケースを含め、不明点や疑問点がみられる場合には梅田パートナーズ法律事務所へお気軽にご相談ください。

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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

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経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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