不当利得返還請求の時効は?時効完成を防ぐ方法も解説
遺産相続において、一部の相続人が遺産を無断で使い込んでしまうケースは珍しくありません。このような場合、他の相続人が取れる法的手段として「不当利得返還請求」があります。不当利得返還請求は、法律上の正当な理由がないまま利益を得た者に対して、利益を得たことによって損失を被った者がその利益の返還を求める手続きです。
しかし、この請求には時効が存在します。時効が完成してしまうと、請求権が消滅し、遺産の返還請求ができなくなります。本記事では、不当利得返還請求の時効について詳しく解説し、時効の完成を防ぐ方法についても紹介します。
不当利得返還請求の時効
不当利得返還請求は、法律的な根拠がないまま他者の財産や利益を得た者に対して、その利益を返還させるための法的手段です。たとえば、遺産相続において一部の相続人が他の相続人に無断で遺産を使い込んだ場合、この不当利得返還請求を行うことで、遺産を取り戻すことが可能です。
不当利得返還請求の時効期間について詳しく見ていきましょう。
時効期間
不当利得返還請求権には時効が存在します。民法第166条によると、時効期間は以下のいずれか早い方です。
- 権利を行使できることを知った時から5年
- 権利を行使できる時から10年
この時効期間を過ぎてしまうと、不当利得返還請求ができなくなります。したがって、相続に関する不当利得が発覚した際には、速やかに弁護士に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。
時効の完成を防ぐ方法
時効の完成を防ぐためには、いくつかの方法があります。まず、内容証明郵便を利用して「催告」を行うことが挙げられます。催告を行うことで、時効期間が6か月間延長されます。
次に、民事調停を申し立てる方法もあります。調停が成立すれば時効が更新され、調停不成立の場合でも調停終了後6か月間は時効の完成が猶予されます。
訴訟を提起することも有効です。訴訟を提起すると、時効の完成が猶予され、判決が確定すれば時効が更新されます。
不当利得返還請求が行われるよくあるパターン
不当利得返還請求は、相続の場面でよく見られるケースの1つです。以下に、不当利得返還請求が行われる典型的なパターンを紹介します。
使い込まれた預貯金の返還請求
遺産の一部である預貯金が、相続人の1人によって無断で使い込まれてしまうことがあります。このような場合、他の相続人は、不当利得返還請求によって、使い込まれた預貯金の返還を求めることができます。
独り占めされた不動産賃料の返還請求
遺産に含まれる不動産の賃料が、一部の相続人によって独り占めされるケースもよくあります。この場合、他の相続人は、不当利得返還請求を通じて、賃料の返還を求めることができます。
相続人の一人が無断で遺産を処分した場合
相続人の1人が、他の相続人に無断で遺産を売却したり、第三者に譲渡したりするケースもあります。このような場合、他の相続人は不当利得返還請求を行い、処分された遺産の価値に相当する金額の返還を求めることが可能です。
相続人が遺産を不当に増やした場合
相続人の1人が、他の相続人の同意なく、遺産を利用して自己の利益を不当に増やした場合、他の相続人は不当利得返還請求を行い、不当に得られた利益の返還を求めることができます。
不当利得返還請求の注意点
不当利得返還請求を行う際には、いくつかの注意点があります。以下に、特に重要なポイントを解説します。
調査が難しい
不当利得に関する調査は、相手方が証拠を隠すことがあるため、難航することが多いです。証拠を集めるためには、専門家のサポートが必要となることもあります。弁護士に依頼して、調査をスムーズに進めることが重要です。
使い込まれたお金は戻ってこない可能性が高い
相手方がすでに使い込んでしまったお金は、返還が難しい場合があります。特に、相手方が財産を持っていない場合や、破産してしまった場合は、返還がほぼ不可能となるケースもあります。このため、早めに対策を講じることが大切です。
請求期間中に相続税の申告期限が到来することがある
不当利得返還請求を行っている最中に、相続税の申告期限が到来することがあります。相続税の申告は、遺産分割が完了していない場合でも、暫定的に行わなければならないため、税理士と連携して適切な対応を行うことが必要です。
まとめ
不当利得返還請求には時効が存在し、時効期間を過ぎてしまうと請求ができなくなります。時効の完成を防ぐためには、早期に行動を起こし、専門家のサポートを受けながら適切な対策を講じることが重要です。相続に関する不当利得の問題に直面した際は、弁護士や税理士に相談し、確実に遺産を取り戻すための対応を進めましょう。
梅田パートナーズ法律事務所では、不当利得返還請求の時効に関するアドバイスや手続きのサポートを行っております。まずはお気軽にご相談ください。
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2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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