海外預金を相続する方法は?どの国の法律が適用されるか・相続順位・流れなどを解説
海外預金を相続する際は、適用される法律や手続きの流れを理解することが重要です。まず、どの国の法律が適用されるかを確認する必要があります。さらに、手続きの流れも国によって異なります。本記事では、海外預金の相続手続きに関する基本的な流れや、適用される法律、相続順位について詳しく解説します。
海外預金を相続する際の法律について
相続に関する法律は国によって異なります。大陸法と英米法という2つの法体系があり、それぞれの国の法制度に応じた手続きが必要です。大陸法では、被相続人の本国法が適用される「相続統一主義」が採用されており、すべての相続財産に対して1つの法律が適用されます。
一方、英米法では「相続分割主義」が採用されており、不動産については不動産が所在する国の法律が適用され、それ以外の財産については被相続人の本国法が適用されます。
また、海外預金を相続する際には、プロベート(検認裁判)という手続きが必要な場合があります。これは、相続財産の管理や分配を裁判所の監督下で行う手続きで、特に英米法の国で一般的です。遺産管理人が相続財産の調査や清算を行い、その後相続人に財産が分配されます。この手続きは非常に煩雑で時間がかかるため、現地の弁護士のサポートが必要となることが多いでしょう。
【大陸法】海外預金の相続の流れ
大陸法が適用されるフランスやドイツなどの海外預金を相続する流れについて、詳しく見ていきましょう。
1. 海外金融機関への相続通知
まず、預金がある金融機関に連絡し、預金名義人の死亡を報告します。その後、相続人として預金の払い戻しを受けたい旨を申し出ます。
2. 必要書類の準備と確認
金融機関ごとに異なる必要書類を確認しながら準備します。一般的には、死亡証明書、相続人の身分証明書、払い戻し申請書などが必要です。
3. 書類の翻訳
準備した書類を現地の言語に正確に翻訳します。専門性が高い翻訳業者に依頼すると安心です。
4. 公証役場での認証
翻訳された書類の正確性を証明するため、公証役場で認証を受けます。
5. 外務省での証明
日本の公証役場で認証を受けた書類であることを証明するため、外務省で追加の証明を受けます。
6. 在外公館での証明
預金がある国の大使館で、必要書類を相続人が作成したものであることを証明してもらいます。
7. 払戻請求の手続き
全ての書類が揃い、認証手続きが完了したら、海外の金融機関に預金の払い戻しを請求します。不備がなければ、払い戻しが実行されます。
【英米法】海外預金の相続の流れ
大陸法が適用されるイギリスやアメリカなどの海外預金を相続する流れについて、詳しく見ていきましょう。
1. 遺産管理人の選任
裁判所が「遺産管理人」を選び、遺産は管理人の管理下に置かれます。
2. 財産と相続人の調査
遺産管理人が財産や負債、相続人を調査して確定します。
3. 相続税の申告と納付
相続税が必要な場合、遺産管理人が申告と納付手続きを行います。
4. 財産分配の許可
裁判所から財産分配の許可を得ます。
5. 遺産の相続
相続人が遺産を受け取り、預金の払い戻しを請求します。完了後、遺産管理人は任務終了を裁判所に報告します。
海外預金の相続を弁護士に相談した方がよい理由
海外預金の相続は、下記の理由により弁護士に相談することが必須といえるでしょう。
法的な要素を含む翻訳が必要
海外預金の相続手続きでは、法的文書を正確に翻訳することが求められます。たとえば、死亡証明書や相続権の証明書などを正確に翻訳するには、語学力だけではなく法的知識も必要です。翻訳のミスが手続きの遅延や拒否の原因となることがあるため、法的要件を満たす適切な翻訳が可能な弁護士に依頼することが大切です。
手続きに時間と手間がかかる
海外預金の相続は複雑で時間がかかります。たとえば、相続税の申告や国際的な財産の評価、報告義務など、複数の手続きを同時に進める場合があります。弁護士に依頼することで、これらの手続きを効率的に進めることができ、相続人の負担を軽減できます。
不測の事態に対応できる
相続手続きには予期せぬ問題が発生することがよくあります。たとえば、税務上の問題や相続権に関する紛争などです。弁護士はこれらの問題に迅速に対応し、最善の解決策を提案することで、相続人の権利を守ります。
まとめ
海外預金を相続する手続きは複雑で、多くの書類と手続きが必要です。また、各国の法制度や手続きが異なるため、専門的な知識と経験が求められます。この記事では、海外預金を相続する際の基本的な流れや適用される法律、相続順位について詳しく解説しましたが、具体的な手続きにおいては現地の専門家や弁護士に相談することをおすすめします。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。
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2012 | 司法研修所 |
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2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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