遺言書の偽造が疑われたらどうする?対処法と対策を解説
遺言書の偽造が疑われた場合、迅速かつ適切な対処が求められます。偽造された遺言書は、相続人同士の関係にも悪影響を及ぼします。本記事では、遺言書の偽造が疑われた際の対処法や、事前に取るべき対策について詳しく解説します。
遺言書の偽造が疑われるケース
遺言書の偽造が疑われる場合には、いくつかの典型的なケースがあります。以下に具体的な例を紹介します。
筆跡が異なる
遺言書の筆跡が被相続人のものと明らかに異なる場合は、偽造が疑われます。筆跡鑑定を行うことで、遺言書の真偽を確認できますが、鑑定結果のみで遺言書の無効を決定することは困難です。他にも、遺言書の偽造を疑う証拠とあわせて判断されます。
遺言書の内容が不自然
遺言書の内容が極端に特定の相続人に有利であったり、遺言者と疎遠だった人に多額の遺産が遺贈されていたりする場合も偽造が疑われます。また、遺言書の作成時に遺言者が認知症を患っていたり、自筆能力が低下していたりした場合は、遺言書の内容が複雑であればあるほど疑念が深まります。
遺言書の保管状況が不自然
遺言書が発見された場所や保管状況も偽造を疑われることにつながります。たとえば、遺言者と疎遠だった親族が遺言書を発見したり、通常では考えられない場所から遺言書が見つかったりした場合などが該当します。また、遺言書の用紙が異なったり、文字の色や濃淡が違ったりする場合も偽造の可能性があります。
遺言書の偽造が疑われたときの対処法
遺言書の偽造を疑う際は、次のように対処しましょう。
家庭裁判所への「検認」の申立て
遺言書の偽造が疑われる場合、最初に行うべきは家庭裁判所への「検認」の申立てです。検認は遺言書の状態を確認し、相続人に対してその存在と内容を知らせる手続きです。検認を経ることで、遺言書の現状が明確化され、偽造や変造の防止につながります。ただし、検認は遺言の有効性を判断するものではありません。
筆跡鑑定の実施
遺言書が偽造された可能性が高い場合は、筆跡鑑定を依頼することが有効です。被相続人の他の手書き文書と遺言書を比較し、筆跡が一致するかを確認します。ただし、筆跡鑑定は絶対的な証拠とはなり得ず、他の証拠と併せて使用することが通常です。
遺言無効確認訴訟を提起する
偽造が疑われる遺言書が発見された場合、家庭裁判所での検認を経た後、遺言無効確認訴訟を提起することが重要です。訴訟では、筆跡鑑定やその他の証拠をもとに、遺言書の有効性を裁判所が判断します。偽造が認められた場合、遺言書は無効となり、偽造に関与した者は相続権を失う可能性があります。
遺言書の偽造を疑われないための対策
遺言書の偽造を疑われないために、次のように対策しましょう。
公正証書遺言の作成
遺言書の偽造を防ぐ最も有効な方法の1つは、公正証書遺言を作成することです。公正証書遺言は、公証人と証人2名の立ち会いのもとで作成され、公証役場で保管されます。このため、偽造や変造のリスクが極めて低くなります。また、遺言書の原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配もありません。
遺言書の保管場所の明確化
自筆証書遺言を作成する場合は、その保管場所を明確にし、信頼できる人物に伝えておくことが重要です。法務局の自筆証書遺言保管制度を利用することも有効です。この制度を利用することで、遺言書の偽造や紛失のリスクを減らし、家庭裁判所での検認手続きも不要となります。
遺言書を偽造した人物のペナルティ
民法第891条第5号には、遺言書を偽造、変造、破棄、または隠匿した者は相続人となることができない旨が定められています。これにより、遺言書を偽造した人物は相続権を失い、遺産を受け取ることができません。ただし、偽造者が相続権を失った場合、その子供が代襲相続人として相続権を持つことができます。
代襲相続できるのは法定相続人のみであり、友人や内縁の妻などは対象外です。
また、遺言書の偽造は、刑法上の有印私文書偽造罪に該当します。この罪に問われると、3ヶ月以上5年以下の懲役が科される可能性があります。
まとめ
遺言書の偽造が疑われた場合、迅速かつ適切な対応が求められます。本記事では、偽造の兆候や対処法、対策について詳しく解説しました。遺言書の偽造は法的に重大な問題であり、家庭裁判所への申立てや筆跡鑑定の実施が有効です。さらに、公正証書遺言の作成や保管場所の明確化によって、偽造を疑われる事態を防止しやすくなります。
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