投資信託の相続手続きの方法は?手続きの流れや注意点を解説
投資信託は、以前では遺産分割の対象にはならないとの考え方がありましたが、現在においてはほぼ問題なく遺産分割の対象として相続されます。しかし、権利関係が複雑なうえに価額が常に変動するため、相続財産の額をいつの時点で評価するのかや、どのように相続するのかなどが問題になりがちです。
今回は、投資信託の相続手続きの方法や手続きの流れ、注意点などについて詳しく解説します。
投資信託の相続方法
投資信託の相続方法は、遺言書があるかどうかで異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺言書がある場合
遺言書では、遺産分割の方法や内容などを指定できます。例えば、「投資信託の○○は長男のAに相続、□□は長女のBに相続」などと記載すれば、そのような形で相続させられます。
ただし、投資信託も遺留分の対象のため注意が必要です。遺留分は、相続人に最低限認められた権利のことであり、その額を投資信託の価額が上回った場合は差額の相続が必要になります。例えば、遺留分請求できる額が1,000万円で投資信託の価額が1,500万円の場合、投資信託の口座からいったん全額を引き出して、1,000万円を渡すなどの対応が必要です。
また、投資信託を解約し、現金を相続割合に応じて分ける方法もあります。
どのように対応すべきかは状況で異なるため、遺産相続に詳しい弁護士に相談しましょう。
遺言書がない場合
遺言書がない場合は、遺産分割協議によって遺産相続の割合や方法などを決めます。相続の方法にはさまざまな方法があり、投資信託を複数の相続人で共有するのも方法の1つです。しかし、投資信託を共有すると、解約時に全員の同意が必要になるなど、手続きが煩雑になります。後々トラブルになるリスクが高いため、超過して相続した分を現金で支払うといった方法を取ることが大切です。
投資信託の相続手続きの流れ
投資信託の相続については、次のように手続きを行います。
1.金融機関を特定する
投資信託は、投資家が複数人から集めた資金をもとに投資を行い、その利益を分配するものです。つまり、金融機関が提供しているサービスのため、まずはどの金融機関と取引しているのかを調べなければなりません。
投資信託では、運用報告書や取引残高報告書といった書類が送られてくることがあるため、被相続人の遺品を確認しましょう。また、オンラインで行うタイプの投資信託では、メールで関連書類が送られてきます。
2.金融機関に相続が発生した旨を伝える
金融機関に相続が発生した旨を伝えます。すると、口座がロックされて不正な引き出しができなくなります。同時に残高証明書が発行されるので、それをもとに遺産分割協議を行いましょう。
また、相続人全員の戸籍謄本や被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書などを提出し、相続手続きを行います。必要書類については金融機関の担当者に確認しましょう。
遺産としての投資信託の価額の評価は遺産分割を行った時点で決まる
投資信託の価額の評価については、遺産分割を行った時点のものです。投資信託は価額が常に変動するため、当初は2,000万円であったのに、遺産分割を行った時点では1,800万円まで減少するような場合があります。
反対に、2,000万円が2,300万円に増えるようなケースもあるでしょう。遺産分割協議が長引けば長引くほどに当初とは事情が変わってしまいます。そのため、相続人全員の同意のもとで投資信託を換価・解約し、現金化したうえで遺産分割協議を進めていくのも1つの方法です。
なお、相続時の価額よりも高くなっている状況で換価または解約する場合には、その差額に対して20.315%の税金がかかります。
投資信託における相続税評価
投資信託を含め、相続財産の総額が以下の計算式で算出する基礎控除額を上回る場合は、相続税の支払いが必要です。
3,000万円+600万円✕法定相続人の数
例えば、法定相続人の数が4人の場合は、基礎控除額は5,400万円です。
なお、投資信託の種類によって評価方法が異なる点に注意が必要です。例えば、株式や債券といった証券投資信託は、次のように評価します。
1口あたりの基準価格✕口数+再投資されていない未収分配金-源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額-信託財産留保額および解約手数料
このように、相続税評価は非常に複雑なうえに投資信託の種類によって異なるため、遺産相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
投資信託は価額が変動するうえに、その種類によって相続税評価の方法が異なります。現金の財産と比べて相続手続きや計算が複雑なため、弁護士のサポートのもとで不備のないように手続きを進めることが大切です。梅田パートナーズ法律事務所では、投資信託はもちろん、どのような財産であっても的確に評価し、手続きをサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。
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2012 | 神戸大学法科大学院 卒業 |
2012 | 司法研修所 |
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2014 | 中小企業診断士 登録 |
2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
事務所概要
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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