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養子縁組を解消するには?手続きの流れや合意を得られない場合の対応方法(離縁裁判・訴訟・調停)

2023.5.28

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

養子縁組は、実際の親子関係がない人物と法律上の親子関係となる制度です。法定相続人にもなるため、他の法定相続人と同様に財産を相続する権利を持ちます。この養子縁組は、手続きによって解消することも可能です。

今回は、養子縁組を解消する方法や話し合いがまとまらなかった場合の対応方法などについて詳しく解説します。

この記事をわかりやすく解説
  • 養子と養親の親子関係を解消すると養親は扶養責任を負わない
  • 養子縁組の解消には、養子と養親の合意が必要
  • 養子縁組を解消するケースとしては稀
  • 相続において実子と養子に差はない
  • 養子縁組を解消する手段について解説
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養子縁組の解消とは


養子縁組の解消は、養子と養親の親子関係を解消する手続きです。養子縁組によって養親と養子の間での相続権や扶養責任などが発生しますが、これらはすべて終了します。また、成人した元養子が生活上の困窮などで支援を要する場合でも、養親は扶養責任を負いません。

養子縁組を解消できないケースもある


養子縁組の解消には、養子と養親の合意が必要です。しかし、合意に至らず、または法的手続きを進めることができない状況に陥るケースは少なくありません。

相手方が養子縁組の解消に応じない場合、調停や審判を行います。しかし、離縁調停では相手方が同意しない限り、離縁は成立しません。また、離縁訴訟においては、法律が認める離縁理由を証明したうえで裁判官が審判を下します。つまり、法律が認める離縁理由がなければ養子縁組は解消できません。

さらに、手続きが完了する前に養子か養親のいずれかが死亡した場合、家庭裁判所の許可を得ることで養子縁組の解消が可能ですが、相続関係は発生します。

したがって、相続させるのを防ぎたいなどの理由で養子縁組の解消を検討する場合、早期に適切な手続きを行うことが重要です。

養子縁組を解消する人は多い?


養子縁組を解消する人の数は一定ではありませんが、ケースとしては稀です。これは、家族関係を形成する重要な手続きであり、多くの場合は養子と養親の間に深い絆が築かれます。そのため、解消を望むケースは少ないのでしょう。

また、本当の親子の間柄を法的に解消することはできませんが、養子縁組はそれが可能です。まさに「縁を切る」を法的に行うものであり、実行するにはそれなりの理由が必要です。それほどまでに重大な事由があるケースは稀ではないでしょうか。

相続において実子と養子に差はない


養親が亡くなった場合、実子と同じように養子も法定相続人になります。ただし、実子の中でも認知されていない場合は、父親における相続権はありません。

実子が1人でも、養子が1人いれば実質のところ2人兄弟となります。それだけ相続割合が少なくなるため、相続争いが起こりやすくなります。

養子縁組を解消する手段には何がある?


養子縁組を解消する手段はいくつかありますが、いきなり調停や訴訟をするのではなく、話し合いでの合意を目指すことが一般的です。養子縁組の解消方法の種類と手続きの方法について詳しく解説します。

協議離縁

協議離縁とは、養子との協議によって養子縁組解消の合意を得ることです。合意した場合は
協議離縁届と呼ばれる書類を作成し、役所に提出します。

調停離縁

話し合いでは解決しない場合は、家庭裁判所に離縁調停の申立を行います。

離縁調停では、調停委員が間に入り、双方の意見を踏まえて合意に至るように仲介します。

調停が成立した場合、調停調書が作成されます。調停調書の謄本を家庭裁判所に申請して取得し、役所に持参して離縁届を提出します。調停成立日から10日以内の提出が必要な点に注意しましょう。

審判離縁

調停で相手が合意しない場合や突然姿を消した場合など、相当と判断される場合には「審判」を行います。

審判とは、家庭裁判所が離縁に関する争いを判断する手続きです。審判においては、裁判官が双方の主張や証拠を考慮し、公正な判断を下します。

審判が成立した場合、家庭裁判所から「審判書」が届きます。その後、審判の確定手続きが行われ、通常は審判書が届いてから2週間が経過すると審判が確定します。

審判が確定した後、確定証明書を入手するために裁判所に申請します。確定証明書は、審判の結果が確定したことを証明する文書です。

そして、審判書と確定証明書を役所に持参して離縁届を提出することで離縁が成立します。

裁判離縁

調停での協議や審判で離縁に至らない場合、離縁裁判を行います。裁判離縁を行うには、法律で認められる理由が必要です。一般的な離縁理由としては、相手からの悪意での遺棄、相手の行方不明が3年以上続いている、養子縁組の継続が著しく困難な重大な事由があるなどです。

養子縁組の解消を拒否されたときの対応方法


養子が15歳以上の場合は、本人に養子縁組の解消を望んでいる旨を伝えます。養子が同意しない場合、家庭裁判所に離縁調停を申し立てましょう。

養子が15歳未満の場合は養子縁組の解消後の親権者となる実父母と話し合いをします。なお、話し合いで解決しなかった場合に調停や審判へ進む場合、相手方は実父母となります。

養子縁組を解消すると養子はどうなる?


養子縁組を解消すると、養子の名字が前の名字に戻りますが、養子縁組を組んでから7年以上が経過している場合は、解消から3ヶ月以内に所定の手続きをすれば養親の名字を引き続き名乗ることができます。

また、養親の戸籍から抜けて、元の戸籍に戻るか新しい戸籍を編成します。親の戸籍には、養子縁組解消をした日付が記載されます。

早めに弁護士に相談することが大切


養子縁組を解消したい旨を相手に伝えても、多くの場合は拒否されるでしょう。この場合、調停や審判に進むことになりますが、解決にまで時間がかかりすぎてしまい、その間に養親が亡くなるケースも考えられます。

この場合、相続が発生して養子に財産を相続させることになってしまうため、なるべく早く養子縁組を解消しなければなりません。弁護士のサポートを受ければ、各種手続きはもちろん話し合いを円滑に進めるためのアドバイスも受けられます。

まとめ

養子縁組を解消するには双方の合意が必要であり、合意を得られない場合は調停を行います。それでも拒否される場合は審判へ進みます。手続きが完了するまでの間に相続が発生すると、被相続人の希望どおりの相続にならない恐れがあるため、時間的余裕をもって養子縁組の解消に向けて話し合いや手続きを進めることが重要です。

梅田パートナーズ法律事務所では、養子縁組の解消における手続きのサポートや各種アドバイスを行うことができますので、まずはお気軽にご相談ください。

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特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

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経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

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著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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