遺言書の効力とは?効力の例や無効になるケースについて解説
遺産分割の際は、遺言書の内容に従うことになります。ただし、遺言書があればどのような形の相続も実現できるわけではありません。また、遺言書の効力が失われるケースもあります。今回は、遺言書の効力の範囲や例、無効になるケースなどについて詳しく解説します。
遺言書の効力
遺言書は、相続において「相続方法」を指定できます。具体的には、相続割合や相続する遺産などを指定し、特定の相続人や相続人以外の人物に自身の財産を引き継がせることが可能です。
たとえ法定相続分を上回ったり下回ったりしていたとしても、遺言書の内容が優先されます。
遺言書による効力の例
遺言書では、どのような内容を指定できるのか例を紹介します。
特定の相続人に全財産を相続させる
遺言書によって、特定の相続人(例:子供や配偶者)に自身の全財産を相続させることができます。
相続人以外の人に遺産を遺贈する
遺言書によって、相続人以外の人(例:友人、親族外の者)に特定の財産や資産を遺贈することができます。
遺産を寄付する
遺言書によって、遺産の一部または全部を慈善団体や公益法人に寄付することができます。自身の遺産を社会貢献のために利用したい方、家族に渡すのであれば寄付した方がよいと考える方が行います。
相続人を廃除する
相続廃除は、相続権を持つ人を相続から外す制度です。相続人を廃除するためには一定の条件を満たす必要があります。例えば、被相続人を虐待した人物や重大な侮辱を加えた人物、著しい非行があった人物などを廃除できる可能性があります。
遺産分割の方法を指定する
遺言書によって、遺産分割の方法を具体的に指定できます。例えば、遺産を平等に分割する、ある一定の割合で分けるなど、自身が希望する方法で遺産分割を実行するように導くことが可能です。
遺言執行人を指定する
遺言書によって、遺言の執行を行う遺言執行人を指定できます。遺言執行人は、遺産の管理や分割手続きを遺言に基づいて行う役割を担います。
遺言書の効力が無効になるケース
遺言書の効力は、一定の条件を満たした際に無効となります。遺言書の種類別に、効力が失われる条件について詳しく見ていきましょう。
自筆証書遺言が無効になるケース
自筆証書遺言は、以下のケースで無効になります。
- 遺言書に日付が記入されていない
- 遺言書がパソコンやワードで作成されている(財産目録は除く)
- 利害関係を持つ者が遺言書の作成に関与した疑いがある
- 被相続人の署名や押印がない
- 遺言書に加筆修正があり、正式な手続きに則っていない(加筆修正箇所のみが無効となる場合もある)
- 遺言書を作成した時点で15歳未満の場合
- 遺言書の作成時に認知症などで意思能力がないと判断された場合
秘密証書遺言が無効になるケース
秘密証書遺言が無効になるケースは、自筆証書遺言が無効になるケースと基本的に同じです。唯一違う点は、ワープロで記入していても遺言書が無効にならないことです。
公正証書遺言が無効になるケース
公正証書遺言は公証人が関与することから内容に不備があることは通常ありません。ただし、作成時点で認知症等で意思能力がないと判断された場合にのみ、無効になります。
遺言書を開封しても効力は消えない
遺言書を開封しても、遺言の効力が消えることはありません。また、公正証書遺言の場合は公証役場にも同じ内容の遺言書が保管されているため、被相続人が持っている遺言書を開封しても問題ありません。
ただし、自筆証書遺言や秘密証書遺言を勝手に開封すると、最大で5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。ただし、実際に罰金が科されることはないでしょう。
しかしながら、遺言書を勝手に開封すると、他の相続人に偽造や改変の疑いを持たれる恐れがあるため、開封しないことが大切です。
遺言書を紛失した場合は効力を失う
遺言書が紛失した場合、遺言書の効力は失われます。相続人の中で誰かが納得できない内容であるとして、遺言書を意図的に破棄してしまった場合も、遺言の効力は無効となります。
遺言書が紛失した場合、遺産分割については相続人間で協議を行い、合意に基づいて分割する必要があります。
遺留分減殺請求で法定相続分を確保できる
遺留分減殺請求は、相続人が法定相続分を確保するために行う手続きです。遺留分とは、被相続人が遺した財産のうち、法定相続分に基づいて分配されるべき割合のことを指します。
例えば、遺留財産の一部が他の相続人に贈与や遺贈されたり、遺言によって特定の相続人が優遇されたりしたことで法定相続分を下回った場合、遺留分滅殺請求によって法定相続分を確保できます。
まとめ
遺言書の効力は非常に強いものの、一定の条件を満たすことで無効になります。そのため、遺言書は適切に保管し、相続人同士でトラブルにならないように注意しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、遺言書の作成方法や相続税対策などについてアドバイスしております。まずは、お気軽にご相談ください。
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2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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