相続時の実家(親の家)の評価方法は?4つの方法とよくあるトラブルについて解説
相続時に実家(親の家)を評価する際は、他の相続人との間で意見が食い違うことがあります。特に、代償分割の場合は実家の評価額によって代償金を受け取る側と支払う側の損得が決まるため、なかなかスムーズに進まないことが多いでしょう。
今回は、相続時の実家の評価方法とよくあるトラブルについて解説します。
実家の評価で起こり得るトラブル
遺産分割において、親の家の評価について合意が得られないと、遺産総額や分割方法に関する認識の食い違いが生じる可能性があります。特に不動産の評価方法や評価額に関しては相続人の間で意見が分かれるケースが少なくありません。
これは、代償分割において起きることが多いトラブルです。代償分割とは、不動産を相続した相続人が他の相続人に対して現金などの代償金を支払うことで、公平な遺産分割を実現する方法です。
代償金の額は実家の評価額をもとに算出するため、評価額が低くなればなるほどに支払う代償金も低くなります。代償金を支払う側としては評価額は低い方が好ましく、受け取る側は評価額が高い方が好ましいことになるため、評価方法をめぐってトラブルになることがあるのです。
実家の資産価値の評価方法
実家の資産価値の評価方法は複数あります。どの方法で評価するかは相続人全員で話し合って決めることが重要です。
実家の資産価値の評価方法について詳しく見ていきましょう。
固定資産税評価額をもとにする
固定資産税評価額は、実家の所有者が受け取る固定資産税の課税明細書に記載されています。土地部分の評価額を知りたい場合は、固定資産税評価額に0.7をかけます。
ただし、建物の状態や売却時のさまざまな状況の影響で価格が変動する可能性があります。
公示価格・路線価から計算する
実家の土地の価値は、公示価格や線路価から計算できます。公示価格は国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公示している標準値価格のことで、各標準値の1㎡あたりの価格が公示されます。
線路価は、国税庁が過去の不動産取引価格や公示価格を参考に定めた土地価格です。
公示価格から地価を算出する計算式は「公示価格×土地の平米数」です。
実家のエリアに線路価が定められている場合、線路価から地価を算出できます。線路価は国税庁サイトの線路価図・評価倍率表で調べましょう。
線路価から地価を算出する計算式は「線路価×奥行価格補正率×宅地面積」です・
奥行価格補正率は国税庁サイトで確認しましょう。なお、これらの計算は1つでも数字の確認に問題があると正しく算出できないため、弁護士に任せることをおすすめします。
周囲の物件相場から算出する
実家周辺の物件相場を参考に、実家の資産価値を調べる方法があります。土地総合情報システムを利用すると、物件周辺の相場を調べることができます。
ただし、実家の建物の状況が考慮されていないため、実際の価格を正確に算定することは不可能です。大体の価格を知りたい程度の場合に、周辺の相場を調べるとよいでしょう。
実家は売るべき?住んでも問題ない?
実家を売るべきか、住むべきかを判断する際は築年数を考慮しましょう。
実家が築30年以上経過している場合、建物の老朽化が懸念されます。雨や湿気などの影響で傷みが心配なうえに、耐震性も現代の基準を満たしていない可能性があります。住む際は、必要に応じてリフォームやリノベーションを検討しましょう。
また、複数の兄弟姉妹がいる場合や他の相続財産がない場合は、実家に誰かが住みたいと言い出すと相続人同士で意見が分かれて相続手続きが進まないことがあります。
この場合は、実家を売却して現金化したうえで分割するか、誰かが実家を相続して代償金を他の相続人に支払うとよいでしょう。
実家には小規模宅地等の特例が適用される可能性がある
小規模宅地等の特例は、特定の条件を満たす宅地に対して適用される相続税の節税措置です。この特例により、実家の相続税評価額が最大80%減少します。
特例の適用には、次のような条件を満たす必要があります。
- 被相続人に配偶者がいない
- 被相続人が住んでいた宅地に同居親族がいない
- 相続人が相続開始前3年以内に三親等以内の親族や特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない
- 相続開始前に対象の実家を相続人が所有していたことがない
- 相続した実家を相続税の申告期限まで所有する
条件を満たしているかどうかの判断は難しいため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
相続時の実家の評価額は、固定資産税評価額や公示価格、路線価などから調べます。まずは、相続人全員で話し合って、評価方法を決めましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、実家の評価方法のアドバイスや各種サポートを提供しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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2010 | 京都大学 卒業 |
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2012 | 神戸大学法科大学院 卒業 |
2012 | 司法研修所 |
2013 | 弁護士 登録 |
2014 | 中小企業診断士 登録 |
2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
事務所概要
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著書および論文名 | ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院) ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」 ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載 |
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