時効取得とは?不動産の取得要件や移転登記の方法などを解説
時効取得とは、他人の土地や建物などの不動産を一定期間占有した際に、一定の条件を満たすことで自分のものにできる制度のことです。
自分が他人のものを取得する場合に限らず、他人に取得される場合もあるため、詳しく確認しておくことをおすすめします。
今回は、時効取得の内容や不動産の取得要件、移転登記の方法などについて詳しく解説します。
時効取得とは
時効取得とは、他人の不動産を一定期間占有した場合において、複数の要件を満たすことで自分のものにできる制度のことです。
そもそも時効とは、一定の事実が一定期間継続した場合に、その事実を正当な権利関係とする制度です。
例えば、AがBの土地を占有している事実が一定期間継続すると、Bの土地であるのにAが自分の土地であると所有権を主張できます。
時効取得が適用される権利・されない権利
時効取得はどのような権利にも適用されるものではありません。
時効取得が適用される権利は、所有権・地上権・地役権・永小作権・賃借権などです。
一方、質権を除く抵当権、留置権、一般の債権、先取特権などには適用されません。
時効取得の対象となる権利については扱いが複雑なため、適用されると思っていたらされなかったというケースが少なくありません。
時効取得についてアドバイスを得たい場合は、信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。
時効取得の成立に必要な要件
時効取得の成立には、主に以下5つの要件を満たす必要があります。
- 所有の意思のある占有である
- 平穏かつ公然の占有
- 他人の物を占有している
- 一定期間の占有の継続
- 占有開始時における善意無過失※短期取得時効の場合
それぞれの要件について詳しくみていきましょう。
所有の意思のある占有である
占有とは、その建物や土地を利用しており、事実的に支配している状態のことです。例えば、その土地に家を建てて住んでいる、他人の家に自分たちだけが住んでいるなどの状況が挙げられます。
ただし、占有しているだけでは時効取得の要件を満たしたことにはならず、「所有の意思があるかどうか」も関係しています。
例えば、土地を借りている状態では、他人のものを所有している意思があるとは言えません。つまり、他人から借りた土地や建物については時効取得ができないのです。
平穏かつ公然の占有
「平穏」と「公然」の意味は次のとおりです。
- 平穏……強迫や暴行などによる占有ではないこと
- 公然……占有している事実を隠していないこと
つまり、強迫や暴行などで強引に奪ったものではなく、なおかつ占有している事実を本人に示していることが要件です。
他人の物を占有している
時効取得の対象は他人の物であり、自分の物を占有しても各種権利はもともと自身が持っているため、この要件の存在は自然だと言えるでしょう。
なお、自分の物を時効取得することも可能です。
例えば、数十年前に購入した土地・建物に住んでいたところ、第三者が自身の所有権を主張してきたとします。このとき、土地・建物が自分のものであることを立証できる書類がなければ不法占拠者の扱いを受ける可能性がありますが、時効取得の主張ができれば不法占拠ではないことを立証しやすくなります。
【関連コラム:不当利得返還請求とは|不当に取得された相続不動産を取り戻す方法】
一定期間の占有の継続
占有が一定期間途切れることなく継続していることも要件です。時効取得が成立する期間には、10年と20年があります。
占有開始時における善意無過失
10年の自己取得が成立するには、占有を開始した時点において「善意」かつ「無過失」である必要があります。
それ以外のケースにおける時効取得が成立する期間は20年です。時効取得の期間については判断が難しいため、必ず弁護士に相談しましょう。
時効取得による所有権の移転登記の方法
時効が成立した場合は、不動産の名義変更(所有権移転登記)の手続きを行います。現在の名義人と新しい名義人の2名が共同で行う必要があるものの、相手方の協力を得られないケースも多いでしょう。
民事裁判で時効取得と登記手続きが認められた場合は、新しい名義人のみで名義変更の手続きが可能です。
手続きの際は、法務局に判決書や確定申告書などの書類を持参し、不動産の名義変更を行いたい旨を担当者に伝えましょう。
まとめ
複数の要件を満たすことで、占有している土地や建物などを自分のものにできます。要件を満たすことが難しいうえに判断を誤りやすいため、必ず弁護士に相談しましょう。
梅田パートナーズ法律事務所では、時効取得が成立している可能性があるかどうかを知りたい、手続き方法を知りたい、全面的にサポートしてほしいなど、さまざまなご要望に対応しております。
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2012 | 司法研修所 |
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2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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