破産手続開始決定とは?条件や効果についてわかりやすく解説
破産手続開始決定とは裁判所が債務者の破産手続きを開始する判断のことです。
そのため、この決定を受けるために必要な条件や、決定後に発生する具体的な効果について知っておくことが重要です。
本記事では、破産手続開始決定について詳しく解説します。
破産手続開始決定とは
破産手続開始決定とは、債務者の破産手続きにおける起点となる裁判所の決定を指します。
破産手続きを開始するには裁判所の判断が必要です。
破産手続開始決定に至るまでには複数の手続きがあるため、標準的なケースでは2〜3か月程度かかります。
破産手続開始決定に必要な条件
破産手続開始決定を受けるには、定められた要件を満たす必要があります。
単なる申立てだけでは手続きは開始されず、裁判所による正式な決定がなければ債務の免責を受けることはできません。
破産手続申立てに適法性がある
破産手続開始決定を受けるためには、破産手続きの申立てが適法であることが条件です。
申立ての適法性は以下の要素から判断されます。
- 破産能力があること
- 申立権を有していること
破産手続開始の原因がある
破産手続開始決定を受けるには、破産手続開始の原因が存在することが必要です。
破産手続開始決定の原因には、以下の2種類があります。
- 支払不能:債務の支払いが継続的に困難な状態
- 債務超過:負債が資産を上回っている状態
個人の場合は支払不能が、法人の場合は支払不能か債務超過のいずれかが必要です。
一時的な資金不足や返済が難しいというだけでは、要件を満たしているとは判断されません。
破産障害事由が存在しない
破産手続開始決定には、破産障害事由が存在しないことも条件です。
法人破産の申立て時に別の倒産手続きが既に開始している場合、手続きの重複による無駄や混乱を防ぐため、破産手続きを開始することはできません。
破産手続開始決定によって生じる効果とは
破産手続開始決定を受けると、主に次の4つの効果が生じます。
管理処分権が破産管財人に移行する
破産手続開始決定により、破産者の財産に関する財産の管理処分権は破産管財人に移行します。
破産手続きは財産状況に応じて「同時廃止」と「管財事件」の2つの方式で進められます。
管財事件では、裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産を管理・処分する権限を専属的に持つことになるため、破産者が勝手に処分することはできません。
債権者の取立て行為が制限される
破産手続開始決定により、債権者は破産者への直接的な債権回収行為ができなくなります。
また、給与の差押えなどの強制執行もできなくなります。
同時廃止では破産手続開始決定と同時に手続きが終了する
同時廃止では、破産者に債権者への配当が可能な財産がないため、破産管財人を選任する必要性がありません。
そのため、破産手続開始決定が出されると同時に手続きが終了します。
破産者の居住地変更に制限がかかる
管財事件では、破産者の居住地変更に裁判所の許可が必要です。
破産管財人は破産者に対して財産状況の説明を求めることがあり、破産者にはその要請に応える義務を負うため、居住地の変更には制限が課されます。
まとめ
破産手続開始決定は、裁判所による債務整理開始の判断です。
この決定には、申立ての適法性、開始原因の存在、障害事由の不存在という3つの要件を満たすことが必要です。
決定後は、財産管理権の移行や債権者の取立て停止といった効果が生じ、財産状況に応じて管財事件または同時廃止の手続きが進められます。
債務整理について悩みや不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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