廃業と倒産の違い
日常生活で「廃業」と「倒産」という言葉はあまり使われることはないと思います。しかしながら、そうであるが故に両者の違いにあまり気を使うことなく用いてしまう場合もあるかもしれません。
簡単に言えば、「廃業」とは単に会社の事業をやめることであり、「倒産」とは会社は負っている債務を払えなくなったり超過してしまったり超過してしまうことで事業を辞めざるを得ないことを言います。ですので、廃業と倒産(「破産」ともいいます)は対立関係にあるというよりかはむしろ廃業の特殊な例が倒産であると言えるかもしれません。
廃業は、上述の通り単に事業をやめることであり、自主的に行われるという意味合いが大きいと思いますが、廃業する場合にも債務を清算する手続が必要になります。
清算手続として主要なものをピックアップすると、まず①現務の結了、②債権の取り立て及び債務の弁済、③残余財産の分配の3つが挙げられます(会社法481条)。
①は現在行っている会社の業務を終わらせることです。
②は税金などを含んだ会社の債務を全て弁済することです。ここで、債務が支払えなくなる場合は倒産(破産)手続を行わなければならなくなります(破産法15条1項)。
③は残った財産を株主に分配することです。これは、②での債務の弁済が完了してもなお残余財産がある場合に限られます(同法502条)。
こうして清算が終了した後に、④期限内で清算結了の登記をしなけばなりません(同法929条各号参照)。
倒産には、支払い不能である債務を清算する破産と、再建可能性のある会社であれば再建を目指す民事再生の2つがあります。破産や民事再生、会社更生はどの会社もできるわけではなく、例えば破産手続であれば、債務の支払いが不能であるか、債務が超過している場合に限られます(破産法15条1項、16条)。そして、弁済できなかった債権(破産債権)を消滅させるために、会社の財産が配当されることになります。
以上のように、廃業は債務を完全に弁済した上で事業をやめること、倒産は支払えなかった債務を特別に清算する手続であると言えます。
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