再建型倒産手続きを利用できる条件とは
一般的に法人の倒産といえば、会社の資産を売却・回収し、債務の一部を弁済して、会社を消滅させる清算型の倒産手続きが広く知られています。
しかしながら、会社の事業を残したいという経営者の方もいらっしゃると思います。そこで、会社を存続させた上で再建を図る再建型倒産手続きというものが存在します。
当記事では再建型倒産手続きの利用条件について解説をしていきたいと思います。
◆再建型倒産手続きを利用するための条件
再建型倒産手続きは今後も事業を継続することが前提となっているため、利用をするためのハードルが非常に高くなっています。
倒産とは本来、資金繰りが厳しくなってしまった場合に、会社の財産を売却しつつ、債務を弁済し会社そのものを消滅させるものであるため、倒産という選択が出ている段階で既に会社としての寿命はほとんどない状態と言っても過言ではありません。
そのような状況下にあっても再建を見込みつつ倒産手続きを行うための条件とは以下のようなものがあります。
・早期の黒字化が可能である
・手続き費用や運転資金を用意できる
・債務カットの対象とならない税金・社会保険の滞納額が少ない
一つ一つ詳しく解説をしていきます。
●早期の黒字化が可能である
上記での説明の通り、倒産手続きを視野に入れている段階で会社の財産状況は芳しくない状態となっています。
そして民事再生やその他の再建型倒産手続きを行ったとしても、債務が全額なくなるというわけではありません。
債務が大幅にカットされたとしても、残った債務に関しては弁済をしていく必要があります。
そのため、経営者が会社の存続を希望したとしても、すぐに事業が黒字経営に転換し、残債務の完済をすることができるという見込みがなければ再建型倒産手続きを利用することはできません。
●手続き費用や運転資金を用意できる
再建型倒産手続きには、弁護士だけではなく、会社の損益状況や今後の収支計画立案のために公認会計士も関与することとなります。
そして、手続きの処理を最初から最後まで全て代理人弁護士が行うため、弁護士の作業量が膨大なものとなっています。
そのため、再建型倒産手続きは、清算型倒産手続きと比較すると、弁護士費用・会計士費用・裁判所に納付する予納金など莫大な費用がかかることとなります。
また、倒産手続き後も事業を継続するため、倒産後の事業の運転資金を用意できるということも重要な点となります。
このように再建型倒産手続きは、前提として相当な費用がかかるため、一般的に債務状況が芳しくない会社では利用することができず、再建は難しいと言えるでしょう。
●債務カットの対象とならない税金・社会保険の滞納額が少ない
借入金や仕入債務などの一般債務は、倒産手続きをとることによって大幅な債務免除を見込むことが可能となっています。
その一方で税金や社会保険料については免除を受けることができません。
そのため、税金や社会保険料の滞納があり、なおかつその額が大きい場合には、上記の手続きそのものの費用が大きいものであるということも相まって、再建型倒産手続きを利用することは難しいといえます。
◆上記3つの条件を全て満たしていない場合には
全ての条件を満たすことができなくとも、早期の黒字化が見込める場合には、金融機関との交渉により、一時的に返済額を緩和してもらい、その間に立て直しを図るということも可能です。
しかしすでに交渉を行い、返済額が緩和されているにもかかわらず事業の立て直しができなかったというような場合には、破産や清算によって会社を消滅させるほかないでしょう。
梅田パートナーズ法律事務所では、大阪府を拠点とし、法人の倒産や破産問題を業務として取り扱っております。
会社経営者の方で、倒産をすることとなったが、会社を存続させたいという方は、早めに専門家の弁護士にご相談することをおすすめいたします。
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