黒字倒産の事例から見る原因や対策について
■倒産とは
「倒産」とは正式な法律用語ではなく、1952年以降、東京商工リサーチが「全国倒産動向」を集計したことから普及した言葉で、企業が自己の債務を支払うことができず、それ以降の経済活動を続けていくことが困難となった状態を意味します。
倒産には、法律によって定められた手続きに基づいて裁判所の管轄の下で倒産処理を行う「法的倒産」と、債権者と債務者との間での協議によって倒産処理を図る手続きである「私的倒産」の2種類があります。
■黒字倒産とは
黒字倒産とは、損益計算書上では黒字であるのにもかかわらず、債務が支払い不能となり、経済活動を続けていくことが困難となることをいいます。
■黒字倒産の原因
黒字倒産の原因としては、色々な原因が考えられますが、どの原因もキャッシュフロー(=資金の流れ)がうまくいかないことが共通します。
以下では、具体的な例を2つあげて詳しく説明します。
⑴売上代金の入金日が遅すぎる場合
会社がある月に100万円を売り上げ、その売上代金の入金日が3カ月先である場合を考えます。この場合、損益計算書上には売上代金100万円が計上されますが、3カ月先まで会社の手元に100万円は入ってきません。この状態で商品の生産代金等の必要経費の支払いを行おうとしても支払い不能となります。これが、売上代金の入金日が遅すぎることによる黒字倒産です。
⑵売れ残り在庫を抱えている場合
ある会社において、単価1000円の商品を1万個仕入れたとします。この場合、仕入れ値の合計は1000万円です。この商品を1つ1500円で6000個売った場合、売上金額は900万円です。
この場合、損益計算書上には、仕入れ値の合計(=売上原価)は1000円×6000個=600万円と計上します。そのため、損益計算書上では売上原価600万円に対して売上金額は900万円となり、300万円の利益が残ることになります。
もっとも、上述の通り、実際に仕入れに必要であった金額は1000万円であるため、900万円の売上げがあったとしても100万円の赤字となります。
このように、在庫を抱えていることによって生じる、損益計算書上と現実との乖離が黒字倒産を引き起こすこととなります。
■黒字倒産にならないためには
黒字倒産を起こさないためには、キャッシュフローの管理が大変重要です。損益計算書のみならず、収入と支出のバランスまで入念に確認するようにしましょう。
また、在庫はなるべく抱えず、早めに処分することをおすすめします。
どうしても手元に残る資金を捻出できないような場合には、使用する予定のない設備の売却やM&Aなどによって資金を捻出し、黒字倒産を回避することも考えられます。
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