特定調停のメリット・デメリット

用途を問わず、借金を返せなくなってしまった債務者は、破産や、民事再生といった手続きを用いて、債務を整理することができます。

 

そして、借金の支払いに困窮している特定債務者は、上記とは別に、特定調停という手続きを用いることができます。

 

特定調停とは、特定債務者が裁判所に申し立てることによって始まり、裁判所が選定した特定調停委員が、第三者として特定債務者と債権者との間に入り、話し合いによって債務整理を行うことをいいます。

ここで特定調停委員が行った調停決定には法的強制力があります。

 

このページでは、特定調停のメリットやデメリットについてご紹介します。

特定調停のメリットとデメリット

特定調停には以下のようなメリットやデメリットがあります。

特定調停のメリット

①債務整理(債務を減額することができる)

 

特定調停は、話し合いによる債務の軽減を目指すものです。

債務者と債権者の直接の話し合いでは成立しなかった合意であっても、第三者である特定調停委員が間に入ることで、冷静に話し合いができ、債務整理に成功することがあります。

 

②返済方法について融通が利く

特定調停は、返済方法について、長期間と定めたり、分割払いと定めることができます。

特定債務者の信頼は、債務超過に陥っているため高くはないため、第三者である特定調停委員が果たす役割は大きいです。

 

③信用情報への影響が小さい

破産や、倒産に関する情報は、信用情報機関(Credit Information Center)や日本信用情報機構(Japan Consumer Credit Information Center)に記載されます。

信用情報機関(CIC)や日本信用情報機構(JICC)は、信用情報を集積・管理し、提供する機関です。

 

具体的には、個人や法人の信用情報を収集・管理しており、金融機関やクレジットカード会社など、様々な取引先に対して、顧客の信用情報を提供することで、貸し倒れリスクを低減し、安定的な取引を促進する役割を担っています。

 

信用情報機関は、過去の借入や返済履歴、滞納履歴、債務整理の有無、過去の取引履歴、法的な問題があったかどうかなど、多岐にわたる情報を収集しています。

これらの情報は、顧客の信用リスクを評価する上で重要な役割を果たしており、融資審査やクレジットカード審査などに利用されます。

 

特定調停においては、JICCへの登録が3年間なされずに済み、CICへの登録はなされません。

 

④自分で安価でできる

弁護士に依頼をすると、弁護士費用がかかりますが、特定調停は、自身で行うことができます。

もっとも、調停は話し合いの場であるため、相場や交渉術、法的観点からの意見が必要となることもあり、その点弁護士に依頼するメリットを失うことになります。

特定調停のデメリット

①JICCには登録される

JICCには3年間登録されるため、信用に傷がつきます。

そのため、新しい借り入れが困難になるといったデメリットがあります。

 

②債権者の同意が必要

特定調停では、債権者の同意があって初めて債務の整理を行うことができます。

一部の債権者との関係で成立しなかった場合、かかる債権者に対しては通常通り返済することが必要です。

 

③成功率が低い

債権者としては、債務のすべてを返済してほしいと考えることが通常です。

そのため、債務者の事情で、債務を圧縮し、長期分割返済とする特定調停は、成立する可能性が低いといえます。

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特定調停にはメリットとデメリットがありますが、債務整理の有効な手段といえます。

もっとも、特定調停の成立可能性は極めて低いです。

かかる特定調停の成立率を上げるためには、法律の専門家であり、相場を知り、信用のある弁護士に依頼することが極めて有効といえます。

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