会社更生の具体的な手続きやメリット・デメリット
■会社更生とは
会社更生とは、会社更生法に基づく裁判手続です。
会社更生手続では、経済難にある株式会社が、会社更生法の定めるところにより更生管財人とともに更生計画を作成したうえで、その計画を遂行して債務の弁済を行うことによって会社の事業の再建を図ります。
■会社更生の具体的な手続き
以下、会社更生手続を時系列に沿って詳しく説明します。
①更生手続開始の申立て
更生手続開始の申立てができる申立権者は、当該株式会社や当該株式会社の総株主の議決権の10分の1以上を有する株主などです(会社更生法17条2項参照)。
申立てはいつでも行うことができるわけではなく、⑴破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合(会社更生法17条1項1号)、または、⑵弁済期にある債務を弁済すれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合(会社更生法17条1項2号)のいずれかの事情が認められる場合にのみ可能となります。
更生手続開始の申立ては書面で行う必要があり、申立先は主たる営業所の所在地を管轄する裁判所や東京地方裁判所、大阪地方裁判所などです。
なお、更生手続開始の申立てを行う際には、後述する保全処分の申立ても同時に行うことが通常です。
②保全措置
更生手続開始決定までは会社財産を申立時のままの状態で維持する必要があることから、この間は裁判所が選任した保全管理人が会社財産を管理・処分することとなります。
③会社更生手続の開始決定
更生手続開始の申立てに記載された要件が満たされている場合には、裁判所により、会社更生手続開始決定がなされます(会社更生法41条1項)。
会社更生手続開始決定ののち、裁判所は更生管財人を選任します。
④債権の届出~確定
更生手続への参加を希望する債権者は、裁判所が定める債権届出期間内に債権を届け出る必要があり(会社更生法138条1項)、届出を行わなかった場合にはその債権は原則として失権することになります。
債権届出期間内に届けられた債権や担保権などに関する認否は更生管財人が作成する認否書にすべて記載されることとなります。認否書に記載のある債権のうち、調査期間内に異議が出なかった債権に関しては債権額が確定します。
⑤会社財産の評定
会社が有するすべての財産は、更生管財人により更生手続開始時における時価を基準に評定がなされます。評定が終わると、裁判所に提出するため、賃借対照表や財産目録が作成されます。
⑥更生計画案の提出~認可
更生管財人は、債権届出期間の経過後、これまでの調査結果や債権者の意見等に基づき、更生計画案を作成して裁判所に提出します(会社更生法184条1項)。
この更生計画案が正式な更生計画として法的効果を付与されるためには、更生計画案につき、債権者や株主を集めた関係者集会による決議と裁判所による認可決定の双方が必要となります。
裁判所の認可決定には会社更生法199条2項の要件に該当することが認められることが必要です。
⑦更生計画の遂行
更生計画に従って会社が債務の弁済を行います。
⑧更生手続の終結
更生計画に定められた債務の弁済が終了したとき、又は、3分の2以上の額の弁済がなされ、更生計画が遂行されないおそれがあると認める場合でないときは、裁判所により更生手続終結の決定がなされます。この決定をもって更生手続は終結します。
■会社更生手続のメリット・デメリット
①メリット
会社更生手続は、会社を存続させたまま経営回復を図ることができる手続です。そのため、解雇による従業員の失業や積み重ねたノウハウの喪失を避けることができます。
また、担保権など優先権を有している強力な債権であっても、その行使に制限をかけることができる点も会社更生手続の大きなメリットとなります。
②デメリット
会社更生手続のデメリットとしては、手続に必要な費用が数千万円以上と高額となる傾向にあり、更生が必要であるような会社にとっては費用の捻出が困難であることが挙げられます。
また、上述の通り、様々な手続が必要であることから、会社更生手続の開始から終了までが長期間にわたることも少なくありません。
さらに、会社更生が行われていることにより、会社に対する社会的信頼が失われてしまうおそれがあります。
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